犬・猫の角膜が白く濁る|角膜浮腫とガンダーセン球結膜フラップ術について|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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犬・猫の角膜が白く濁る|角膜浮腫とガンダーセン球結膜フラップ術について

【痛み・失明・手術治療まで眼科獣医師が解説 | 東京都・小平市 東京ウエスト動物病院】

こんな症状ありませんか?

✔ 目が白い
✔ 涙が増えた
✔ しょぼしょぼする
✔ 痛そう
✔ 目が膨らんで見える
✔ 最近見えにくそう

その症状、
角膜浮腫(水疱性角膜症)
かもしれません。

重度になると、

  • 強い痛み
  • 視力低下
  • 角膜潰瘍
  • 失明

につながることもあります。

今回は、
角膜浮腫に対して行う手術
ガンダーセン球結膜フラップ手術
について、
実際の事例を含めて
わかりやすく解説します。

東京ウエスト動物病院では、
点眼治療だけでなく、
「Gundersen球結膜フラップ手術」
という特殊な眼科手術にも対応しています。

今回は、
犬・猫の角膜浮腫と
角膜浮腫の改善を目的とした
Gundersen球結膜フラップ手術について
わかりやすく紹介します。

日本語ではガンダーセン、ガンダーソンなどと表記されています。
彼は、角膜の浮腫を改善させる手術テクニックを1960年に報告しています。
Surgical treatment of bullous keratopathy. Arch. Ophthal. 64, 260, 1960.

■ そもそも角膜浮腫とは
角膜に水分がたまり、
白く濁ってしまう状態です。

重度になると、
強い痛みや視力低下につながります。
以下に犬猫での事例を示します。
左目の角膜浮腫犬の左目の角膜浮腫

猫の右目の角膜浮腫猫の右目の角膜浮腫

犬の左目の角膜浮腫犬の左目の角膜浮腫

目の表面(角膜)は、
透明であることがとても大切です。

その透明さを守っているのが、
「水を外へくみ出すポンプ役」をしている
角膜内皮細胞
です。

この細胞が弱くなると、
角膜の中に水がたまり、
ガラスがくもるように
白く濁ってしまいます。

これが角膜浮腫(かくまくふしゅ)です。

■ なぜ水がたまる(白くなる)の?
濁りのキーポイントは、角膜内皮細胞とそのポンプの役割です。
水を抜く役目の角膜内皮細胞は、角膜の最内側、前眼房の房水がある部分に面しています。角膜の一番奥深い所にあります。この細胞は一層構造といわれ、例えれば薄いサランラップのようなとても薄い膜です。角膜に裏打ちされているものです。

角膜内皮細胞はここ角膜内皮細胞はここ!

この角膜内皮細胞は房水が溜まっているエリア(前眼房)に接しています。その房水が内皮細胞を通って角膜の中に浸透して栄養分を角膜に供給します。そして入った水分と同じ量を排出(これがポンプ作用)させてもいます。このバランスを取り角膜内は脱水状態(透明感)に保たれます。

この脱水状態を保つことが大事で、これにより光はまっすぐに角膜内を進むことができると言われています。

角膜は必要以上の水分が浸透してしまうと、角膜の透明度が下がり白濁します。角膜の透明度を保つには、内皮細胞がきれいに規則正しく並び充分な細胞数があることが必要です。

水分によって膨張してしまったり、病気によって細胞数が減りその機能が壊れ、維持できなくなると角膜の透明度は落ちて白濁は強くなります。

重度な場合は、水分が溜まる部分が大きくなり角膜が膨らんで見えることもあります。

角膜内皮細胞は、角膜の透明度が落ちないように、余計な水分を眼球内に排水するという働きをもっていて「排水ポンプ」のような仕事をしているとも例えられます。

この細胞は、一度大きく減ってしまうと、
元通りに増えにくい特徴があります。

人でいう「すりガラスのような見え方」
に近い状態と想像されます。

■ 進行するとどうなる?
角膜浮腫が進行すると、
✔ 強い痛み
✔ 涙が止まらない
✔ 目を開けられない
✔ 角膜潰瘍
✔ 角膜に穴が開く(角膜穿孔)
につながることがあります。

特に、慢性的な痛みが続く子も多く、
「なんとなく元気がない」
「顔を触られるのを嫌がる」
という形で現れることもあります。

■ 原因
原因には、

  • 加齢
  • ヘルペスなどの感染
  • 白内障手術などの眼科手術
  • ブドウ膜炎
  • 緑内障
  • 外傷

などがあります。
原因がはっきりしないケースもあります。

■ 症状
何よりも辛い症状は、痛み(眼痛)、涙(流涙)、異物感(不快な自覚症状)とされています。見えにくさ(視力の低下)もあります。角膜白濁の程度は様々です。軽度なものから重度なものまで見られます。

犬・猫で
「目が赤い」
「急に痛そう」
「白目が充血している」
場合には、
緑内障などの病気が隠れていることもあります。

▶ 犬・猫の緑内障について詳しく読む
▶「犬・猫の目が赤い」症状については、東京ウエスト動物病院 眼科案内からもご覧いただけます。

・ 重症化すると・・・
重度なものでは、下図のように、お餅を焼くときにプ~ッと膨らむ時があります。このように突出してくると瞼を閉じることはできなくなり、違和感は大きなものになるでしょう。また、突出部は空気に触れて乾燥しやすくなり感染も引き起こされます。強い痛み、感染、炎症、腫れ、角膜潰瘍、視力低下などを引き起こすことになっていきます。極めて重度な角膜浮腫
極めて重度な犬の角膜浮腫

症状は下図のように軽度なものから重度なものまで様々です。
軽度~中等度の角膜浮腫
軽度~中等度の角膜浮腫

猫の重度な角膜浮腫重度な角膜浮腫

重度なケースでは、経過に伴ってだんだんと悪化することが多いです。

目が白いという症状では、
✔ 白内障
✔ 角膜浮腫
✔ 角膜潰瘍
✔ 緑内障
など、原因は大きく異なります。
特に白内障については、早期判断が重要になることがあります。

▶ 犬の白内障について詳しく読む
▶ 犬の白内障手術について詳しく読む

角膜浮腫では、表面が弱くなり、
角膜潰瘍を起こすことがあります。
角膜潰瘍については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▶ 犬・猫の角膜潰瘍について詳しく読む

何週間も治らない角膜潰瘍では、
SCCEDS(スケッツ)という特殊な病気が隠れていることがあります。

▶ SCCEDS(スケッツ)について詳しく読む

■ 治療
原因の如何に拘わらず、治療がうまくいかない最も悲惨な病状の1つであるとDr. Gundersen は指摘しています。

治療には、点眼や全身投与による内科的な方法と手術による外科的な方法があります。

・ 内科治療
高張の溶液や軟膏の点眼、眼圧降下剤などがあります。しかし、効果が的確で長期間期待できるものはありません。

外来でできる処置になりますので、この項で述べますが、
当院でよく使う方法は、
上下のまぶたを利用する眼瞼フラップ処置(外来での医療ボンドでの接着で鎮静や麻酔は使いません)です。
利点、欠点それぞれありますが、とても利用しやすい良い方法として使っています。

下記の記事もご参照下さい。
・角膜フラップ手術の考え方 – 2009年06月29日

・ 外科治療
重度の場合は、手術が必要になることがあります。
麻酔は必要になりますが、治癒に向けての確実性は高くなります。

角膜表層の焼灼、角膜移植、瞬膜・球結膜フラップ術、コンタクトレンズの装着などいくつかの方法があります。
当院では、角膜病変の状況を見て、
✔ 眼瞼フラップ処置(外来での医療ボンドでの接着)、
✔ 瞬膜・球結膜フラップ手術、
✔ Gundersen フラップ手術などを使い分けています。

・ ガンダーセン球結膜フラップとは?
球結膜の血管を利用して、
角膜にたまった水分を吸収させる手術です。

これにより、

✔ 痛みの軽減
✔角膜浮腫の改善
✔白濁の軽減
✔視覚の改善
✔視覚の改善
✔穿孔予防
✔ 眼球温存

が期待されます。

この手術は角膜実質内の水分を吸収させる方法で、浮腫、白濁の改善を計るという点で優れた方法と言えます。
眼痛を始めとした症状の緩和を始めとして、視力を改善させるという点でもとても優れた術式と思います。

・ 視力はどうなる?
ガンダーセン球結膜フラップ術は、
「見えるようにする手術」
というより、
痛みを減らし、 眼球を守るための手術
として行われることが多いです。

そのため、
視力回復が主目的ではないケースもあります。

ただし、

✔ 強い痛みが減る
✔ 眼を残せる可能性
✔ 日常生活の快適性向上

につながることがあります。

■ 事例紹介
今回、紹介する角膜浮腫の事例は、チワワ、10歳、♂去勢済み、2.3Kg の子です。

右目の角膜内皮障害による角膜浮腫右目の角膜内皮障害による角膜浮腫

手術前の状態手術前の状態
内科的治療では改善なし
眼内外の痛みが強くなったため、
Gundersenフラップ手術を実施

角膜浮腫の表層を半分切除したところ角膜浮腫の表層を半分切除したところ

球結膜を移動し、 縫合したところ切除した角膜表層部分を覆えるほどに はく離した球結膜を移動
縫合したところ

顕微鏡手術手術はマイクロサージェリー、
手術用顕微鏡下で実施

以下は、Gundersen球結膜フラップ手術前後の比較画像です。術後45日目でもまだ角膜の白濁(浮腫)はありますが、だいぶ改善は見られています。何よりも眼内痛の痛みから解放されたことは大きな成果と思います。視覚の点でも改善は見られています。今後も経過観察を続けていきます。Gundersen球結膜フラップ手術前後の比較画像

下の画像は、細長い(スリット)光で観察したものです。手術前は白濁が強く、眼内は見通せません。45日目ではまだ白濁はありますが、角膜浮腫の改善、前房、虹彩、瞳孔の視認は可能となって改善は見られています。細長い(スリット)光で観察したもの

■ このような症状は早めの受診をおすすめします
✔ 目が白く見える
✔ 涙が増えた
✔ 目を閉じる
✔ まぶしそう
✔ 目を痛がる
✔ 黒目が膨らんで見える

角膜浮腫は、進行すると痛みや視力低下につながることがあります。
気になる症状がある場合は、
お早めにご相談ください。

当院は、以下の点について充分な対応が可能です。

  • マイクロサージェリー
  • 眼科手術対応
  • 症例数
  • 他院からの紹介
  • 難治症例対応

■ 日常ケアと早期発見
完全な予防は難しい病気です。
しかし、

  • 眼科検査
  • 目の炎症管理
  • 早期治療

は重要です。

東京ウエスト動物病院では、
それぞれの子に合わせた
眼科診療・ケアをご提案しています。

下記の記事もご参照下さい。
・角膜フラップ手術の考え方 – 2009年06月29日

■ 以下のような場合は受診をおすすめします

✔ 目が白くなった
✔ 涙が増えた
✔ 痛そう
✔ 目を閉じている
✔ 急に見えにくそう

■ 東京ウエスト動物病院 眼科診療について
当院では

  • 白内障
  • 緑内障
  • 角膜疾患
  • 角膜潰瘍
  • SCCEDS(スケッツ)
  • 眼内腫瘍
  • 猫の角膜分離症

など、犬・猫の眼科診療を行っています。

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