いぬ
咳
咳につながる疾患には、気管軟化症(気管虚脱)、短頭種気道症候群、軟口蓋過長症、喉頭麻痺、喉頭室外反、喉頭虚脱、ケネルコフ(犬伝染性気管・気管支炎)、猫喘息などがあります。その他にも、肺水腫、左心房拡大による気管(支)挙上、心不整脈(期外収縮)、肥満などが上げられます。
咳 - 気管軟化症(気管虚脱)
それらの中で比較的多く見られるものに気管軟化症(気管虚脱)がありますが、これは高齢の犬に多く、咳はだんだんひどく、時間も長くなり、進行に連れて止まりにくくなっていきます。犬はとても辛そうで、体力を消耗します。見ていて何とかしてあげたいと思うほどです。
空咳、喘鳴音、咳の最後にカ~ッと痰を出すようなしぐさのほか、ガチョウが鳴くような『ガ~』、『ガ~』とひどい音として聞こえることも多いです。くしゃみ様になることもあります。進行性のことが多く、増悪と共に気管だけでなく、肺にも悪影響を及ぼします。
肺炎様のより強い呼吸困難を引き起こすこともあります。
咳込み時にオシッコが出てしまうこともあります。
咳 - 気管軟化症(気管虚脱)
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は「僧帽弁の閉鎖が不完全な状態になる」病気の総称です。通常では心臓内の血流は一方通行ですが、弁の閉鎖が不完全になることで逆流が生じます。国内では小型犬での発症が多くみられます。レントゲン検査や超音波エコー検査を行うことによって、心臓の状態を評価し、ステージにあった投薬を行っていきます。病気は進行しますので、定期的な循環器科検査と進行ステージに合った投薬やケアが必要になります。
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肺水腫
上記の僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、左心房の血圧が上がることで肺からの血液が心臓に戻ってきにくくなります。そのため、肺に水(血液)が貯留することで肺水腫が起こります。非常に苦しいため、首を伸ばしたり呼吸数が顕著に増加します。すぐに対応しないと命に関わる可能性が高い疾患です。酸素室での酸素吸入で苦しさを軽減し、利尿剤を用いて肺の水を抜いてあげることが必要です。
先天性の心奇形
先天的心疾患は生まれつき、心臓やその周囲の血管に構造的な異常があることです。その種類や奇形の程度により症状は様々です。症状を示さない場合もあり、普通に成長し寿命を全うできる子もいます。一方、生後間もなく成長と共に重篤な症状を示し、亡くなる子もいます。心室中隔欠損症(VSD)、動脈開存症(PDA)、肺動脈狭窄症(PS)、ファロー四徴症(TOF)のような種類が知られています。
肺炎
肺炎は病原体が肺に感染し炎症を起こす病気です。肺は酸素を取り込み、二酸化炭素を出す器官で、ここに炎症が起こると換気が不十分になり、呼吸困難を起こし、息がゼーゼーと早くなります。体調も悪くなります。場合によっては、命に関わるおそれもあります。
病原体には細菌、ウイルス、真菌(カビ)などがあり、感染した病原体によってはほかの臓器にも感染が広がることがあります。また、食物や胃の内容物などを誤嚥して起こる誤嚥性肺炎、寄生虫やアレルギーによって引き起こされる肺炎もあります。