眼科
肉眼での観察のほか眼科専用器材を用いて大きく拡大し、小さな病変も見逃さないよう注意深く観察します。
また、所見は画像ファイリングシステム(コーワVK-2)を使用して保存します。10年前の所見であっても鮮明な画質で比較観察できます。
スリットランプ
眼圧計
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トノベットプラスによる眼圧の測定を行います。
眼底カメラ(コーワ GENESIS)
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視神経乳頭や網膜など眼底所見の観察を行います。
心電図検査
心電計(フクダエム・イー CARDISUNY D800)
いたみケア&緩和ケア
低出力半導体レーザー治療器(オサダ OSL-1000V DIOTRON)
病気による痛みや不快感などを軽くしたり、取り除くケアのことを『緩和ケア Palliative Care(パリエイティブケア)』と呼び、注目されています。
レーザー照射療法を始め、抗炎症療法、鎮痛剤、麻薬(モルヒネなど)の使用(注射、のみ薬、貼り薬、座薬)などがあります。
激しい痛みには、椎間板の痛み、術後の痛み、癌や腫瘍の痛みのほか、歯の痛み(虫歯、歯肉炎など)、目の痛み(角膜潰瘍、白内障、ブドウ膜炎、緑内障など)、骨折、広範囲の火傷、尿道結石などの痛みが、呼吸の苦しみには、肺の腫瘍、肺炎、貧血など、皮膚の激しい痒みや痛みには、外部寄生虫や寄生体による皮膚炎、アトピー性皮膚炎などがあります。
全身の場合はとても辛く悩ましいもので、何とか少しでも楽にしてあげたいと思うものです。
痛み、苦しみ、痒みなどの症状を和らげることは、このようなストレスからの解放を意味し、ペット達はとても楽になり、治療効果が上がるだけでなく、QOL(クオリティオブライフ)を高める上でも大変効果的です。
麻酔・手術管理
手術室
眼科(眼外・眼内)、軟部外科、整形外科、歯科など幅広い手術に対応できる施設となっています。
設備は、吸入麻酔器、人工呼吸装置、電動手術台、保温マット、手術用顕微鏡、白内障手術乳化吸引装置、電気メス、ソノサージ、吸引装置、整形外科手術装置、無影灯、手術用生体モニター、マイクロサージェリー用器材、歯科用器材、吸引装置などを完備しています。
麻酔用器材
全身麻酔用の気化器(Vaporiser)と吸入麻酔装置&人工呼吸装置
手術用器材
口腔歯科手術、眼科手術、軟部外科、整形外科など幅広く対応できる専用の器材を準備しています。
歯科専用器材類
歯のケアや抜歯だけでなく、口腔内のでき物、異物など対応できるよう取りそろえています。
眼科専用器材類
マイクロサージェリー用の専用手術器材を揃えて、角膜手術、白内障手術、緑内障手術など、眼内外の手術に対応しています。
軟部外科専用器材類
小型の犬、猫から大型の品種まで対応可能な器具類、器材類を取りそろえています。
また、去勢手術や皮膚のできものなど体表の手術から腹腔内、胸腔内手術まで対応しています。
手術用レーザー(オサダ LIGHT SURGE 25V)
電気メス・ソノサージ(超音波凝固切開装置/オリンパス)
整形外科専用器材類
骨折、脱臼、各種整形外科に必要な整形外科専用器材(プリマド2)を取りそろえています。
手術の実施に当たっては、動物用超音波手術器ソノキュアを用いた安全度の高い手術方法を取り入れています。
ソノキュアは、超音波領域の周波数で金属チップを振動させ、目的部位を破砕・乳化・吸引のほか、骨の切削などの手術を低侵襲で行えます。
その際に血管や神経などの弾力性に富んだ組織を選択的に温存できることや組織へのダメージを最小限に抑える(低侵襲)ことができるのは大きな特徴です。
内視鏡
TWAH消化器内視鏡のご案内
内視鏡検査、内視鏡処置とはどのようなものでしょうか
内視鏡による検査や処置とは、体を切開せずに、細い管状のカメラを口からあるいはお尻から入れて消化管の中を観察したり、採材などを行うことを指します。
一般的に「内視鏡検査」は消化器内視鏡検査を指しますが、ほかには鼻腔内視鏡、気管支内視鏡、胸腔鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、関節鏡などがあります。ヒト医療では「胃カメラ」と表記されていることもあります。ペットにも胃がん、胃潰瘍、大腸、結腸などの疾患は時としてありますので、健康診断メニューのオプションの1つとして取り入れられる時代はやってきそうです。
消化器内視鏡検査の目的は下記の2つです。
- 異物を飲み込んでしまった、摘出したい。
- 消化管の疾患が疑われる。
内視鏡が有用な消化管の疾患としては、炎症の結果、蛋白質が漏れ出てしまう蛋白漏出性腸症の原因となる炎症性腸疾患やリンパ管拡張症、消化管型リンパ腫などがあげられます。下部消化器疾患としては、直腸腺癌や炎症性ポリープ、出血性大腸炎などがあげられます。
他の疾患、例えば急性膵炎や消化管間質腫瘍(GISTジスト)が疑われる場合には、内視鏡検査ではなく、他の検査がより有用と思われます。つまり、消化器内視鏡は、消化器疾患や消化管由来腫瘍の診断のためには有用ですが、どの病気に対しても有効な検査というわけではありません。腹部切開をしないメリットはありますが、すべてをカバーできるものではありません。
ペットの消化器内視鏡
消化器内視鏡には、口からカメラを入れる「上部消化器内視鏡」とお尻からカメラを入れる「下部内視鏡」があります。異物を誤嚥してしまって摘出する場合は、上部消化器内視鏡となります。何かしらの消化器の疾患で、内視鏡を用いて消化管粘膜の生検を行う場合は通常「上部・下部」両方実施することもあります。ただし、疑っている疾患や、レントゲン検査や超音波エコー検査で明らかに【上部】、【下部】がわかっているケースでは、どちらか一方を行うことになります。
なお、消化管の上部、中部、下部と分けた場合、中部に内視鏡を進めることはできません。
当院で使用している内視鏡はOLYMPUS 動物用内視鏡システム OLYMPUS システムセンター CL-260、光源装置CLV-260です。
動物用内視鏡システム OLYMPUS CL-260 CLV-260
ビデオスコープ GIF-Q240X
ビデオスコープは GIF-Q240X 、外径9.2mmです。
鉗子類は、
生検鉗子 標準型
生検鉗子 V字鰐口
把持鉗子 バスケット型
把持鉗子 五脚型
把持鉗子 V字鰐口
の5種類を備えています。
内視鏡で摘出できる異物とは?
ペットが異物を飲み込んでしまった時に、内視鏡を使えるか否かを検討することになります。
消化できないモノを飲み込んでしまった時、その処置は以下の4つのパターンがあります。
- 口から吐き出させる、嘔吐を誘発させる
- 便と一緒に排泄させる、24時間の観察
- 口から内視鏡を使って摘出する、全身麻酔下
- 開腹して摘出する、全身麻酔下での手術
1の【口から吐き出す、嘔吐を誘発させる】
これは、自然に嘔吐して吐くこともあれば、薬剤によって吐かせる催吐処置を行うことを指します。この場合は異物が胃内に入っていること、そしてその異物を確保するとしても、食道や咽頭を傷つけないようなものの場合に適応となります。
最近は、使い捨てマスクの使用率が高いですので、置きっぱなしのマスクやお菓子の袋、飼主様が触っているイヤリング、靴下など色々な物を飲み込むことがあります。このようなケースでは催吐処置の適応となります。
異物を飲み込んだけど、内視鏡では取り出せない場合
非常に大きな異物(形状にもよりますが、目安として直径5センチ以上)であったり、大型犬では携帯電話、スマホなどの事例もあります。溶けたり吸収される異物[チョコレートや不凍液(エチレングリコールなど)]、その他、すでに胃内から小腸に移行してしまった異物は内視鏡では取り出せません。内視鏡での異物摘出は食道内、胃内にある物に限られます。
異物摘出以外の内視鏡検査
異物以外では消化管疾患で、特に消化管の粘膜面に病変があることが疑われる場合に消化管の内視鏡検査の適応となります。上部消化管は口から小腸近位まで、下部内視鏡は肛門から小腸遠位まで観察することができます。口から入れても肛門から入れても、小腸の中央部の観察はできませんのでこの部分の異常が考えられる場合には内視鏡の適応ではないかもしれません。しかし、内視鏡検査を実施しようか考慮するような、びまん性粘膜疾患は、その他の箇所にも何らかの異常を呈していることが多いため、一番の異常個所ではないが診断価値のある検査ができることもあります。
内視鏡検査・処置の費用
消化管内視鏡はほとんどの場合、全身麻酔下で行われます。直腸近位で生検をしない、経過観察のための内視鏡検査の場合には麻酔なしで行う場合もあります。
基本的な費用として、麻酔前検査費、麻酔費、内視鏡検査費となります。
これらは、検査を行う施設、異物なのか、消化器系の部位(上部・下部・上下共)によって、時間も変わるため、麻酔料金や内視鏡料金はその内容や施設によっても異なります。
当院で上下内視鏡検査を行う場合には通常1時間程度で終わりますが、比較的短時間で済むケース、長く時間がかかるケースもあり、麻酔費用や技術費用に幅が出てきます。
その他に付随するものとしては疾患やその症例の状態によって、点滴費用、生検を行った場合には病理組織検査費用、追加の入院費用、追加の治療費用などが含まれてくることもあります。
内視鏡検査のメリットとデメリット
メリットは、催吐処置や開腹手術と比較して、消化管内部を調べることができて、麻酔から覚めた後も強い痛みを示す場所が小さいということがあります。また、催吐処置と比較して、安全に異物を取り出すことができます。
飽和食塩水やオキシドールを飲ませて催吐させるという方法もあります。これは胃粘膜などへのダメージもあるため、今ではほとんど行われることはありません。他方、静脈注射や点眼による方法で嘔吐させるやり方は現在よく行われています。
催吐処置や開腹手術と比較してのデメリットとしては、催吐処置と比較すると、費用が高く、麻酔が必要ということがあげられます。
内視鏡検査の内容として、消化器全体に目が届かないというデメリットがあります。開腹手術の場合は、おなかの中にある臓器すべてが確認できます。
また、「異物を飲み込んでしまい内視鏡検査を行ったけど、結局取れずに開腹手術を行った」というような、内視鏡検査ではとれる異物と取れない異物があるのに対し、開腹手術では基本的にすべての消化管内異物は摘出することができます。
当院では、ペットへの内視鏡検査や処置に対して経験豊富な獣医師が在籍しております。
異物誤嚥、嘔吐、下痢などの消化器症状でお困りの際はご相談下さい。
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全ての手術において必要なポジションの角度調整を得ることができます。
術者の負担を軽減し、手術の時短や質の高い手術技術を発揮することができます。
救急セット
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毎月、薬剤、注射器などの不足がないかを定期点検し、救急状態をイメージした月1回の院内訓練を行っています。
手術中の低血圧、徐脈、頻脈などのほか、夏の熱中症ショックや冬のコールドショック対策としても有用です。