犬の乳び胸とは?原因・症状・検査・治療を解説|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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犬の乳び胸とは?原因・症状・検査・治療を解説

【東京ウエスト動物病院 東京都・小平市】

「最近、呼吸が速い気がする」
「少し動いただけで苦しそうにしている」
このような症状の原因の一つに、乳び胸(にゅうびきょう)があります。

乳び胸は、胸の中に「乳び」と呼ばれる白く濁った液体がたまり、肺が十分に広がりにくくなる病気です。進行すると呼吸が苦しくなるため、早めの診断と治療が大切です。

この記事では、犬の乳び胸について、原因・症状・検査・治療をわかりやすく解説します。

1.犬の乳び胸とは?
肺と胸の壁の間には、胸腔(きょうくう)というわずかな空間があります。
通常、この場所には肺の動きを助ける少量の液体しかありません。しかし乳び胸では、脂肪やリンパ球を多く含む「乳び」が胸腔内に漏れ出してたまります。

液体が増えると肺が外側から圧迫され、犬は息を十分に吸いにくくなります。

胸水が多い場合には、診断より先に胸の液体を抜き、呼吸を楽にする処置が必要になることもあります。

2.乳びはどこから漏れるの?
食事に含まれる脂肪の一部は、腸から吸収されたあと、リンパ液として胸管(きょうかん)という細い管を通ります。

胸管は、お腹から胸の中を通り、最終的に太い静脈へつながっています。

この胸管や周囲のリンパの流れに異常が起こると、乳びが胸腔内へ漏れ、乳び胸になることがあります。

3.犬の乳び胸の主な原因
乳び胸の原因には、次のようなものがあります。

・心臓の病気
・胸の中の腫瘍
・血管やリンパ管の異常
・血栓による静脈の流れの障害
・外傷や手術後の胸管損傷
・肺葉捻転
・フィラリア症
・横隔膜ヘルニア

詳しく検査しても原因を特定できない場合は、特発性(とくはつせい)乳び胸と呼ばれます。犬の乳び胸では、この特発性の症例も少なくありません。

4.乳び胸で見られる症状
乳び胸では、次のような症状が見られます。

・呼吸がいつもより速い
・浅く小さな呼吸をする
・お腹を大きく動かして呼吸する
・散歩や運動を嫌がる
・元気や食欲が低下する
・横になりにくく、座った姿勢を続ける
・首を伸ばして苦しそうに呼吸する

胸水の貯留が長く続くと、咳や体重減少が見られることもあります。
症状は、胸にたまった液体の量や、たまる速さによって異なります。

すぐに受診してほしい症状
次のような状態は緊急性があります。

✔口を開けて呼吸している     犬の呼吸が苦しいときに考えられる病気」の記事へリンク
✔呼吸のたびにお腹が大きく動く
✔舌や歯ぐきが青紫色に見える
✔横になることができない
✔ぐったりして動けない

このような症状がある場合は、すぐに動物病院へご連絡ください。

5.乳び胸の検査

乳び胸が疑われる場合には、呼吸の状態を確認しながら、必要な検査を組み合わせます。

胸部レントゲン検査
胸水の有無や量、肺の広がり方、心臓や胸の中の異常を確認します。
ただし、胸水が大量にたまっていると、肺や心臓の形が見えにくいことがあります。その場合は胸水を抜いたあとに、もう一度撮影します。

超音波検査
胸水の有無をすばやく確認できるほか、胸水を安全に抜くための位置を決める際にも役立ちます。
心臓病が疑われる場合には、心臓超音波検査も行います。

胸水検査
胸に細い針を刺し、たまった液体を採取します。この処置を胸腔穿刺(きょうくうせんし)といいます。
・犬の胸水とは?呼吸が苦しそうなときに考えられる原因・検査・治療もご覧ください。

採取した胸水について、次のような項目を調べます。

・色や濁り
・細胞の種類
・比重
・中性脂肪
・コレステロール
・細菌感染の有無

乳びは白色やピンク色に見えることが多いものの、見た目だけでは確定できません。一般的には、胸水と同じ時点で採取した血液を比較し、胸水中の中性脂肪が血液中より高いことなどから乳び胸と判断します。

CT検査
腫瘍や血管、胸管の走行などを詳しく確認するために、CT検査を行うことがあります。

手術を検討する場合には、胸管の位置や分岐を把握し、手術計画を立てるためにCT検査が役立つことがあります。

6.犬の乳び胸の治療
治療方法は、呼吸状態、胸水の量、原因、再発の有無などによって決まります。

① 胸水を抜く
呼吸が苦しい場合は、まず胸腔穿刺を行い、肺を圧迫している液体を抜きます。

胸水を抜くことで、肺が広がりやすくなり、呼吸が楽になることが期待できます。

胸水が短期間で何度もたまる場合には、胸腔ドレーンを設置して継続的に排液することもあります。

② 原因となる病気を治療する
以下に示すような原因となる病気が見つかった場合は、その治療を行います。

・心臓の病気
・胸の中の腫瘍
・血管やリンパ管の異常
・血栓などによる静脈の流れの障害
・外傷や手術による胸管の損傷
・肺葉捻転
・フィラリア症
・横隔膜ヘルニア

原因を治療することで、乳びの漏れは減少する可能性があります。

③ 内科的な管理
状態に応じて、次のような管理を行うことがあります。

・脂肪を控えた食事を検討することがあります。ただし、食事だけで乳びの貯留が止まるとは限りません。
・胸水の定期的な排液
・酸素投与
・全身状態や栄養状態の管理
・基礎疾患に対する治療

「ルチン」と呼ばれる成分が使用されることもありますが、犬における治療効果を裏づける十分な根拠はまだ限られています。

内科治療だけで改善する症例もありますが、特発性乳び胸では、内科的な管理だけで完全に胸水を止めることが難しい場合があります。

④ 外科手術
胸水の貯留を繰り返す場合や、内科的な管理で改善しない場合には、外科手術を検討します。

代表的な手術は、胸管結紮術(きょうかんけっさつじゅつ)です。乳びが流れる胸管を結び、胸腔内への漏れを減らします。

症例によっては、次の手術を組み合わせます。
・胸管結紮術
・心膜切除術
・乳び槽の焼灼・切除など

胸管結紮術に心膜切除術などを組み合わせる方法は、犬の特発性乳び胸に対する有力な治療法として報告されています。ただし、術式や成績は犬の状態、胸管の分岐、基礎疾患、施設の設備などによって異なります。

・犬の乳び胸に対する開胸手術の症例を見る
・東京ウエスト動物病院の外科手術について

7.乳び胸を放置するとどうなる?
乳びが長期間にわたって胸の中にたまると、肺の表面や胸膜に慢性的な炎症が起こることがあります。

炎症が続くと胸膜が厚く硬くなり、胸水を抜いても肺が十分に広がりにくくなる線維性胸膜炎へ進む可能性があります。

また、乳びとともに脂肪、たんぱく質、リンパ球などが失われるため、体重減少や栄養状態の悪化、免疫機能の低下につながることもあります。長期間の乳びの貯留は治療成績にも影響するため、早めの対応が重要です。

8.治療後も定期的な確認が必要です
治療後は、次の項目を定期的に確認します。

・呼吸数や呼吸の様子
・胸水が再びたまっていないか
・元気や食欲
・体重や栄養状態
・胸部レントゲン検査
・必要に応じた超音波検査

ご自宅では、犬が落ち着いて眠っているときの呼吸数を数えておくと、変化に気づきやすくなります。

ただし、呼吸数だけで判断するのではなく、「浅い呼吸」「お腹を使った呼吸」「横になれない」などの呼吸の仕方もあわせて確認してください。

9.まとめ
犬の乳び胸は、胸の中に乳びがたまり、肺が十分に広がりにくくなる病気です。

呼吸が速い、散歩を嫌がる、横になれないなどの症状が見られます。重症になると命に関わるため、呼吸が苦しそうな場合は早めの受診が必要です。

治療では、胸水を抜いて呼吸を楽にするとともに、原因となる病気を調べます。胸水が繰り返したまる場合には、胸管結紮術や心膜切除術などの外科治療を検討します。

東京ウエスト動物病院では、呼吸状態、胸水検査、画像検査などの結果を総合し、一頭一頭の状態に合わせた治療方法をご提案します。

■「呼吸がいつもより速い」
■「少し動くだけで苦しそう」
■「胸水があると言われた」

このような場合は、早めにご相談ください。

Web問診はこちら – 東京ウエスト動物病院 TEL:042-349-7661   FAX: 042-349-7662
犬の乳び胸・胸水について東京ウエスト動物病院へご相談ください

 

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