いぬ
膵炎
膵炎は急な食欲不振や吐き気、下痢、腹部の激しい痛みを特徴とします。原因としては高脂肪食や分別なく食事を与えることが多いと発症しやすいとされています。血液検査や超音波エコー検査を行い、診断していきます。重度の膵炎の場合、炎症物質が全身に流れ、全身性の炎症反応を引き起こしてしまう可能性があります。
治療は炎症がおさまるまで点滴や吐き気止めを使用します。急性膵炎の初期病態を押さえ込む良い薬が日本で開発されています。当院では該当する場合は積極的に使用しています。治療後の再発予防としてフードを低脂肪食に変更することが勧められています。
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食物アレルギー
食物アレルギーには皮膚症状と消化器症状があります。皮膚症状では痒み、赤み、膨らみなど、消化器症状としては嘔吐、下痢、排便回数の増加などが知られています。消化器の食物アレルギーを持つ犬の60%は、排便の回数が1日3回以上になると言われています。アレルギーは体質による病気ですので、1/3〜1/2の症例は1歳未満で発症すると言われています。
胃拡張・胃捻転症候群
急性腹症の一つで、激しい痛みから神経原性ショックを引き起こしかねない急性の病気です。胃はねじれて拡張し、側にある脾臓を一緒に巻き込むこともあります。ご飯の後の散歩は避けて、散歩のあとに食事タイムにすることをお勧めします。元気がなくなり、お腹が張って苦しそうになります。涎を垂らしたり、嘔吐することもあります。重度では胃や脾臓の血管が絞扼され、臓器の血流障害のため、神経原性ショックとなり、数時間で死亡することもあり、緊急を要します。
胸の深い超大型犬(グレートデンやシェパード・ド―ベルマンなど)や高齢のダックスフンドにもみれらます。超大型犬では、お腹の中も広いため、ご飯を食べた後すぐに激しい運動をしたり、一度に大量に食べたりすると胃拡張から胃捻転を引き起こすケースが目立ちます。食後1~4時間でお腹が張ってきてぐったりして呼吸が荒くなります。
腸の腫瘍
腸は食事を消化・吸収する働きをもつ重要な器官です。消化器系の腫瘍には口腔内腫瘍(メラノーマ、扁平上皮癌、線維肉腫など)、胃癌、小腸癌、大腸癌、胃腸のリンパ腫や肥満細胞腫、肛門周囲腫瘍(肛門周囲腺腫・腺癌、肛門のう癌)などがあります。また、通常は粘膜から発生するものが多いのですが、粘膜の下にある筋肉の層から発生するジストGIST: Gastrointestinal stromal tumor 消化管間質腫瘍)という腫瘍もあります。
異物誤食
若い子に多い傾向がありますが、食べることに貪欲な子は年齢に関係なく見られます。布やひも、スポンジ、ボール、電池など色々です。胃の出口や腸に詰まってしまいます。食べたものが詰まった部分から先に進まなくなるため、頻回の嘔吐をするようになります。