犬の両側パテラ手術|膝蓋骨内方脱臼の手術と翌日までの経過【症例紹介】|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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犬の両側パテラ手術|膝蓋骨内方脱臼の手術と翌日までの経過【症例紹介】

【東京ウエスト動物病院 東京都・小平市】

今回は、犬の膝蓋骨内方脱臼(パテラ)の両側手術を行った症例をご紹介します。

1.今回ご紹介するワンちゃん
ご紹介するのは、両後ろ足に膝蓋骨内方脱臼(パテラ)がみられた1歳のマルプーです。

・年齢:1歳
・性別:男の子(去勢済み)
・体重:4.02kg
・右後肢:グレード3
・左後肢:グレード2

普段はケンケンしたり、後ろ足を上げたまま歩いたりするような目立った症状はありませんでした。
しかし、飼い主様は 右後ろ足の運び方が少し気になる と感じていました。
今回は数回にわたる診察と検査を行い、両後肢の状態を詳しく評価したうえで治療方針を検討しました。

手術前の歩様検査 歩き方の動画(36

 

目立った跛行はありませんが、
右後肢の運び方に
違和感がみられます。

2.パテラとは?
パテラとは、一般に『膝のお皿』と呼ばれる膝蓋骨のことです。正常では大腿骨の溝の中を上下に動きますが、膝蓋骨内方脱臼では、そのお皿が膝の内側へ外れてしまいます。

「詳しくはこちら」→ 犬の膝蓋骨内方脱臼(パテラ)の初期症状とは? 足を上げる・スキップ歩行は要注意

3.今回、なぜ手術を行うことになったのか?
パテラと診断されたすべての犬に、すぐ手術が必要なわけではありません。

手術を行うかどうかは、グレードだけではなく、

✔年齢
✔症状
✔歩き方
✔膝蓋骨の外れ方
✔骨格の状態
✔痛み
✔日常生活への影響

などを総合して判断します。

今回のワンちゃんは、普段はケンケンしたり、後ろ足を上げたまま歩いたりするような目立った症状はありませんでした。
しかし、飼い主様は右後ろ足の運び方に違和感を感じており、診察では右グレード3、左グレード2の両側膝蓋骨内方脱臼が確認されました。

まだ1歳と若いことに加え、右グレード3・左グレード2という左右の膝の状態、歩き方、膝蓋骨の安定性などを総合的に評価しました。
現在の状態と今後考えられる影響について飼い主様へご説明し、治療方法を十分に相談したうえで、今回は手術を行うことになりました。

「パテラは手術した方がいい?様子を見てもよい?」

4.手術前に確認したこと
安全に手術を行うための術前チェック
身体検査、血液検査、膝関節の触診評価、レントゲン検査、麻酔リスク評価、必要に応じて追加検査を行いました。

膝関節の触診評価
この動画で行っている「触診」が、グレード判定の中心となる検査です。
触診検査 右後肢 動画(12秒)

 

レントゲン検査
レントゲン写真では、下図のように両側とも膝蓋骨(パテラ)は内側に外れていることが確認できます。

当院では手術前に獣医師・看護師で症例を確認し、年齢、犬種、体重などの基本情報に加えて、麻酔、疼痛管理、手術内容、術後管理、リハビリについて情報を共有してから手術に臨みます。

5.両足を一度に手術することについて
「両足にパテラがあるから、一度に両足を手術する」というわけではありません。

両側を同時に手術する方法と、片足ずつ時期を分けて手術する方法には、それぞれメリットと注意点があります。

当院では、犬の年齢、体格、左右の重症度、骨格、全身状態、術後の歩行や管理が可能かどうかなどを確認し、一頭ごとに判断します。

今回のワンちゃんについても、左右の膝の状態、年齢、体格、全身状態、術後管理について総合的に検討しました。

その内容を飼い主様へ十分にご説明し、ご相談したうえで、今回は両側を同時に手術する方針となりました。

6.実際に行った手術

両側膝蓋骨内方脱臼の手術を行っている様子

今回行った主な手術は

  • 膝のお皿が安定して動く場所をつくる(滑車溝形成)
  • 膝のお皿を引っ張る方向をまっすぐに整える(脛骨粗面転位)
  • 周囲の組織のバランスを整える(軟部組織の調整)

となります。

右足には①~③を、左足には①と③を行っています。

7.手術中の安全管理
手術だけでなく、麻酔と痛みの管理も大切にしています。

心電図、血圧、血液中の酸素の状態(SpO₂)、呼吸の状態を確認する呼気二酸化炭素(EtCO₂)、体温などを継続して確認します。手術中だけでなく、目が覚めてからの痛みまで考えて鎮痛計画を立てます。

8.手術直後
手術は予定通り終了し、ここから回復を見守っていきます。
術後は必要に応じて酸素ルームで管理し、温度・湿度・酸素濃度を調整しながら、安全に麻酔から覚めるまで見守ります。

術後は必要に応じて酸素ルームで全身状態を見守ります

覚醒状態・呼吸・体温・痛み・術部・後肢の状態などを確認し、覚醒後は元気や食欲、起立・歩行の状態も確認します。

9.術後1日目
術後翌日は、体温・脈拍・呼吸、元気・食欲、痛み、手術部位の腫れなどを確認しています。
また、両後肢をどの程度使えるか、立つことができるか、歩く時に左右どのように足を使っているかも確認します。
手術後は痛みや腫れの状態に合わせて術部のクーリングを行い、無理のない範囲からリハビリを開始します。

 

術後翌日のクーリング+リハビリ(123秒)
片足3分を目途として行います

両足を同時に手術した場合、左右とも回復途中になるため、滑りや転倒を防ぎながら、安全に後ろ足を使えるようサポートすることが特に大切です。
手術翌日には、状態を確認しながら少しずつ後ろ足を使う練習を始めました。 

退院後の生活、リハビリ、術後レントゲン、歩き方の変化については後編でご紹介します。

10.まとめ|パテラの治療は、一頭一頭に合わせて考えます
今回は、右グレード3・左グレード2の両側膝蓋骨内方脱臼がみられた1歳のワンちゃんに、両側同時手術を行いました。

パテラの治療は、グレードだけで決めるものではありません。年齢、症状、歩き方、膝や骨格の状態などを総合して、その子に合った治療方法を飼い主様と一緒に考えることが大切です。
また、手術が終われば治療終了ではありません。

痛みを管理し、膝を守りながら少しずつ後ろ足を使い、自然な歩き方や筋力を取り戻していくところまでが大切です。

東京ウエスト動物病院では、術前検査から麻酔・手術、入院中の管理、退院後のリハビリまで継続して経過を見守っていきます。

次回は「手術後の回復・リハビリ編」です
次回は、
退院後の生活・リハビリ・歩き方の変化・術後レントゲン・1~2か月後の回復
を、実際の写真や動画とともにご紹介します。

後編:犬の両側パテラ手術後|退院・リハビリ・レントゲンで見る回復経過【症例紹介】

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