スタッフこらむ
STAFF COLUMN
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先日、猫伝染性腹膜炎(FIP)発症の可能性がある猫ちゃんが来院されました。アメリカンショートヘア、6ヶ月齢、性別オス(未去勢)、体重2.2Kgの若い子でした。体温 39.6℃と発熱し、瘠せていて、お腹は腹水でポンと膨らみ、どことなく元気がない様子、飼主様は後肢のよろつきもみられていると仰っていました。

診察とコロナウイルス抗体価検査を行い、抗ウイルス剤の注射による治療をすぐにスタートしました。
今回、この子の経過を追うとともに、あらためて猫伝染性腹膜炎FIPのけいかや治療についてまとめていきたいと思います。
【猫のFIPとは】
猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)は猫コロナウィルス(FCoV)によって引き起こされます。
一般的に、猫コロナウィルスは有害ではなく、90%の猫ちゃんがこのウィルスを保有していると推定されています。
ただし、猫コロナウィルス(FCoV)が猫伝染性腹膜炎ウィルス(FIPV)に変異すると、致命的になってしまうのです。
【最新の治療薬】
FIPVの研究を行っていた研究チームが、人間用の抗ウィルス剤を使ってみたところ、猫のFIPに大きな成果が期待できることがわかりました。このGS-441524という薬が最近発見されたことで、それまで90%以上の死亡率だった猫伝染性腹膜炎は、治療可能な病気となりました。
下の写真は、今回紹介している子の治療スタートから17日目での様子です。発熱はなくなり、食欲も出て、腹水はなくなっていました。体重も増え(2.2Kg → 2.45Kg)、体調は良くなり、飼主様はとても喜んでおられました。
ポッコリお腹は改善していました!
【FIPにかかった猫ちゃんの寿命は?】
まずは、病気が早期に発見され、早い段階でFIPと診断された猫ちゃんは、治療を受けた後の予後が良好です。治療を受けない場合、亡くなってしまうことがほとんどです。
新しい治療薬のGS-441524は、臨床試験で高い治療効果を示しており、その効果は92%以上とされています。この薬で治療を受けた猫ちゃん達の多くは、回復後に何年も生きることができ、また多くの猫ちゃんが再発することなく日常生活を送っているそうです。
【紹介事例の子の経過】
当院で治療を開始した写真の猫ちゃんは、初診日翌日の2回目の注射でご来院されたところ、体重は少し増え、昨日よりも体調は良さそうとのことでした。効果が出る印象としてはとても早く、翌日には改善感が実感できたという飼主様の言葉には驚きでした。その後は、自宅で毎日GS-441524の注射薬を投薬して頂きました。
治療開始から17日目、体調は良さそうで、引き続き注射での治療を継続しています。このまま元気になって、日常生活が送れるようサポートしていきたいと思います。
この子の今後の経過については、また近いうちにご紹介の機会を持ちたいと思います。YS
引用:CureFIPJAPAN HP
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