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【東京ウエスト動物病院 東京都・小平市】
「昨日まで普通に歩いていたのに、急に物にぶつかるようになった」
そんなときに注意したい病気のひとつが、網膜剥離(もうまくはくり)です。
網膜剥離は、犬にも猫にも起こります。原因によっては治療で視力が戻ることもありますが、回復が難しい場合もあります。
突然見えなくなった場合は、できるだけ当日中に診察を受けることが大切です。
■1.網膜剥離とは、どんな病気?
網膜は、目の奥にある、光を感じ取る薄い膜です。
カメラでいえば、光を受け取るセンサーのような働きをしています。
網膜剥離とは、この膜が本来の位置から浮き上がり、剥がれてしまう状態です。
●なぜ網膜は剥がれやすいの?
網膜は10層からできており、網膜剥離は、その最も外側にある「網膜色素上皮」と、光を感じる「神経網膜」の間で起こります。
神経網膜と網膜色素上皮は、胎児の時期に別々の層として発達します。両者は密着していますが、接着が弱まり、間に液体がたまると剥がれることがあります。
そのため、水分が入り込むなどして密着が保てなくなると、網膜が浮き上がり、剥がれてしまうことがあります。
剥がれた部分は正常に働けなくなり、広い範囲で剥離すると、急に視力を失うことがあります。

網膜剥離が起こる場所
網膜は、光を感じる「神経網膜」と、
その外側にある「網膜色素上皮」など
からできています。
網膜剥離は、この2つの層の間が離れ、
神経網膜が浮き上がる状態です。
■2.どんな症状が出るの?
次のような変化がみられます。
– 急に家具や壁にぶつかる
– 段差を怖がる、歩くのをためらう
– 瞳孔が大きく開いたままになる
– 片目だけ、または両目が見えにくくなる
– 目の奥に出血がみられることがある
網膜剥離だけでは、目の表面に目立った異常が出ないこともあります。
急に見えなくなった、目が赤い、痛がるなどの症状があれば、様子を見ずに受診してください。
※目の充血や痛みは、緑内障など別の緊急疾患の可能性もあります。
■3.なぜ網膜が剥がれるの?
網膜剥離には、いくつかの原因があります。
① 高血圧
特にシニア猫で注意が必要です。高血圧によって目の奥の血管から水分が漏れ、網膜が浮き上がることがあります。
犬でも高血圧による網膜剥離は起こります。
・猫が突然見えなくなった|高血圧による網膜剥離・眼底出血に注意
② 炎症や感染症
網膜や、その外側にある脈絡膜に炎症が起こると、網膜剥離につながることがあります。
・犬・猫の網膜脈絡膜炎とは?|目の奥に起こる炎症と全身の病気
③ 網膜の裂け目や外傷
網膜に穴や裂け目ができたり、強い外傷を受けたりして、剥離が起こることがあります。
このほか、先天的な網膜の異常、眼内の腫瘍、眼科手術後の合併症なども原因となります。
高血圧の背景には、腎臓病や、猫では甲状腺機能亢進症などが隠れていることがあります。
そのため、目だけでなく全身の病気を調べることも大切です。
●網膜剥離には3つのタイプがあります
網膜剥離は、起こる仕組みによって主に3つに分けられます。
滲出性(しんしゅつせい)網膜剥離:高血圧や炎症などで網膜の下に液体がたまり、網膜が浮き上がります。
裂孔原性(れっこうげんせい)網膜剥離:網膜に穴や裂け目ができ、そこから液体が入り込んで網膜が剥がれます。
下図のように、神経網膜が網膜色素上皮から持ち上がるように剥がれてしまいます。

裂孔原性(れっこうげんせい)網膜剥離
網膜に穴や裂け目(裂孔)ができ、
そこから液体が入り込むことで、
神経網膜が網膜色素上皮から剥がれて
浮き上がる状態です。
牽引性(けんいんせい)網膜剥離:網膜が瘢痕組織などに引っ張られて剥がれます。
犬や猫では、原因によって治療方法や視力回復の可能性が異なります。
■4.網膜剥離はどうやって調べるの?
まず、視覚反応や瞳孔の動き、眼圧などを確認します。
重要なのが、目の奥を直接観察する眼底検査です。
眼底検査では、網膜の剥離、出血、炎症などを調べます。
●写真1.犬の網膜剥離と眼底出血(当院症例)

赤矢印:眼底の出血部位
黒矢印:白っぽく浮き上がった網膜剥離の部位
はく離した網膜は、白く濁った薄い膜のように見えることがあります。
●写真2.猫の網膜剥離と眼底出血(当院症例)

赤矢印:大きな眼底出血の部位
黒矢印:白っぽく浮き上がった網膜剥離の部位
猫では、高血圧などの全身疾患に伴って、網膜剥離や眼底出血が起こることがあります。
網膜剥離に加えて、目の奥に大きな眼底出血が認められます。
このような異常は、高血圧や全身の病気に伴って起こることもあります。
・眼底検査について詳しくは、ペットの眼底検査では何がわかる?
白内障や出血などで眼底が見えない場合には、眼科超音波検査(エコー)が役立ちます。
また、必要に応じて血圧測定、血液検査、尿検査などを行い、原因を探します。
■5.治療すれば視力は戻るの?
網膜剥離は、原因によって治療方法も視力回復の可能性も異なります。
高血圧や炎症が原因の場合
血圧を下げる治療や、原因となる炎症・感染症の治療を行います。
治療によって網膜が元の位置に戻り、視力が改善することもあります。
●当院で治療した猫の網膜剥離(治療前後の比較)
この猫には高血圧と甲状腺機能亢進症が認められ、網膜剥離を伴っていました。
高血圧にはアムロジピン、甲状腺機能亢進症にはメルカゾールによる内服治療を行いました。
写真3.治療前の眼底写真
網膜剥離が認められ、眼底は広い範囲で白っぽく不鮮明に見えています。

赤矢印: 網膜の表面を走る血管
写真4.治療後の眼底写真(治療前の撮影から48日後)
治療経過とともに網膜剥離の所見が改善し、治療前には不鮮明だった視神経乳頭や網膜血管が、より明瞭に観察できるようになりました。

黄色矢印:視神経乳頭
この症例では眼底所見の改善が確認できますが、視力がどの程度回復したかは確認できていません。
網膜剥離は、原因や網膜の傷み具合によっては、治療により改善することがあります。
※網膜剥離の改善と視力の回復は、必ずしも一致しません。
網膜に穴や裂け目がある場合
網膜の状態によっては、レーザー治療や専門的な網膜手術が検討されます。ただし、すべての症例で手術ができるわけではありません。
ここで大切なのは、「網膜が元に戻ること」と「視力が戻ること」は同じではないという点です。
網膜が長く剥がれていたり、強く傷んでいたりすると、元の位置に戻っても視力が十分に回復しないことがあります。
早期に原因を見つけ、適切な治療を始めることが重要です。
■6.突然見えなくなったら、どうすればいい?
急に物にぶつかる、瞳孔が開いたままになるなどの変化があれば、できるだけ当日中に動物病院を受診してください。
特に目の強い充血や痛みがある場合は、速やかな診察が必要です。
突然見えなくなる原因は網膜剥離だけではありません。
詳しくは、犬・猫が突然見えなくなったら?|目・網膜・視神経・脳のどこに原因がある?をご覧ください。
受診までの間は、家具を動かさず、階段や段差からの転落を防ぎ、安心して過ごせる環境を整えてあげましょう。
東京ウエスト動物病院では、眼底検査や眼科超音波検査、血圧測定などを組み合わせ、網膜の状態と全身疾患の関係を調べています。
網膜剥離は、早く原因を見つけることが視力を守る第一歩です。
突然の見え方の変化や網膜の異常が気になる場合は、東京ウエスト動物病院へご相談ください。
Web問診はこちら – 東京ウエスト動物病院 TEL:042-349-7661 FAX: 042-349-7662
突然の視力低下、網膜剥離の検査・診断なら東京ウエスト動物病院へ