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【東京ウエスト動物病院 東京都・小平市】

SARDSと診断されても、愛犬のためにできることはたくさんあります。視力の回復、散歩、家での生活、寿命について、飼い主様からよくいただく8つの疑問にお答えします。
「SARDS(サーズ)です。視力が失われています」
そう説明されても、すぐには受け止められない飼い主様も多いと思います。
「昨日まで普通だったのに、どうして?」
「もっと早く気づいていれば助けられた?」
「もう一度見えるようにはならないの?」
「散歩はできる?」
「この子はこれから幸せに暮らせる?」
病名の説明を聞いたあと、本当に知りたいのはこうしたことではないでしょうか。
この記事ではSARDSという病気そのものをもう一度詳しく説明するのではなく、SARDSと診断された、あるいはSARDSが疑われた飼い主様からよく聞かれる疑問についてお答えします。
SARDSそのものの症状・原因・検査・治療について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
▶ 関連記事:「犬が突然見えなくなるSARDS(サーズ)とは?|症状・検査・治療について」
1.「昨日まで見えていたのに、本当に突然見えなくなるのですか?」
はい。
SARDSでは、短い期間に両眼の視力が大きく低下することがあります。
海外でSARDSの犬434頭の飼い主様を対象に行われたアンケート調査では、見え方の異常に気づいてから完全に視力を失うまでの期間が、2週間未満だった犬は約65%でした。
そのため、
「数日前までは普通だった」
「少し歩き方がおかしいと思ったら、急に家具にぶつかるようになった」
ということもあります。
SARDSの最初の「S」はSudden(突然)という意味です。
ただし、突然見えなくなる原因はSARDSだけではありません。
▶ 関連記事:「犬・猫が突然見えなくなったら?|目・網膜・視神経・脳のどこに原因がある?」
2.「もっと早く気づいていれば、視力を守れたのでしょうか?」
そう考えてしまう飼い主様もいらっしゃいます。
しかしSARDSは進行が速く、発症初期には目の外見だけでなく、眼底を見ても大きな異常が分からないことがあります。
犬は嗅覚や聴覚、家の中の記憶も使って生活しているため、視力が低下していても、慣れた家では普通に歩いていることがあります。
そのため、ご家庭で早期に気づくことが難しい病気です。
一方で、
・急性緑内障
・網膜剥離
・網膜出血
・視神経の病気
・脳の病気
など、早く治療することが重要な病気でも突然見えなくなることがあります。
「急に物にぶつかる」「段差の前で止まる」「瞳孔が開いたまま」などの変化があれば、SARDSと決めつけず早めに眼科検査を受けることが大切です。
3.「SARDSで失った視力は戻りますか?」
現在のところ、SARDSによって失われた視力を確実に回復させることが証明された標準治療はありません。
さまざまな治療が研究されていますが、安定して視力を取り戻せる治療法は、まだ確立していません。
これは飼い主様にとって、とてもつらい説明だと思います。
しかし、
「見えなくなること」と「幸せに暮らせなくなること」は同じではありません。
犬は、におい、音、触った感覚、家の中の位置関係などを上手に使いながら生活しています。
視力を取り戻すことだけではなく、視力を失った後も、その子らしい生活をどう支えていくかを考えることが大切になります。
4.「本当にSARDSなのでしょうか?どのように確認するのですか?」
「見えていない」という症状だけで、SARDSと診断することはできません。
まず、次のような点を確認します。
・視覚反応
・瞳孔の反応
・眼圧
・角膜・水晶体
・眼底(眼の奥にある網膜など)
・網膜の働き
などを順番に確認します。
特に重要なのがERG(網膜電図検査)です。
ERGは、網膜が光に対してどの程度反応しているかを電気信号で調べる検査です。
SARDSでは、発症初期に眼底の見た目が正常でも、ERGで網膜の反応が著しく低下、または消失していることがあります。そのため、診断に非常に重要な検査です。

また当院では、必要に応じて赤・青・白色光に対する瞳孔反応を調べる検査も組み合わせます。
▶ 関連記事:「犬の目に赤・青・白の光を当てる検査|Melan 100でわかること」
大切なのは、一つの検査だけで判断するのではなく、
眼球・網膜・視神経・脳のどこに原因があるのかを考え、
検査結果を組み合わせて、治療が可能な別の失明原因との区別を行うことです。
5.「目が見えないと、この子はずっとつらいのでしょうか?」
SARDSそのものは、通常、強い目の痛みを起こす病気ではありません。
そして、視力を失った犬の多くは、少しずつ新しい生活に適応していきます。
海外でSARDSの犬100頭を調べた研究でも、視力を失った後も、多くの飼い主様が愛犬の生活の質(QOL)を良好と評価していました。
見えなくなっても、その子の生活すべてが失われるわけではありません。
ただし、
・目が真っ赤
・痛そうに目を細める
・角膜が白く・青く濁る
・目を触られるのを嫌がる
という症状がある場合は話が違います。
SARDS以外に、強い痛みを伴う急性緑内障などが隠れている可能性があります。
突然見えなくなり、目の赤みや痛みもある場合は、様子を見ず当日中に動物病院を受診してください。
▶ 関連記事:「犬、猫の目が赤い・痛がる時は要注意|それは緑内障かもしれません【症状・見分け方・治療】」
6.「目が見えなくても、散歩はできますか?」
はい。
状態が落ち着けば、散歩を楽しめる犬は少なくありません。

最初は慣れた道を選び、次のことに注意しましょう。
・リードをつけてゆっくり歩く
・段差の前では「段差だよ」など同じ言葉で知らせる
・急に引っ張らない
・車や自転車、人通りの多い場所では特に注意する
安全に配慮しながら、少しずつ散歩を再開しましょう。
散歩には運動だけでなく、においを嗅ぐ、外の音を聞く、ご家族と一緒に歩くという楽しみがあります。
「見えないから散歩をやめる」のではなく、安全な方法に変えて続けるという考え方が大切です。
7.「家の中では、何をしてあげればよいですか?」
一番大切なのは、「予測できる家」にすることです。家具や食器の場所が大きく変わらない、安心して歩ける家を目指しましょう。

犬は家の中の位置関係を覚えて生活します。
ご家庭では、次のような工夫がおすすめです。
・家具の配置を大きく変えない
・水・食器・寝床の位置を固定する
・階段や玄関にはゲートをつける
・家具の尖った角を保護する
・床に物を置きっぱなしにしない
・触る前に声をかける
できるところから取り入れてみてください。
「右」「左」「止まって」「段差」など、ご家族で同じ言葉を使うのも役立ちます。
最初は戸惑っていても、嗅覚・聴覚・触覚・記憶を使いながら、自分なりの「新しい地図」を作っていく犬はたくさんいます。
8.「SARDSになると、寿命も短くなるのでしょうか?」
「目が見えなくなったということは、体にも大きな病気があるのでは?」
と心配される飼い主様もいらっしゃいます。
海外のSARDSの犬434頭の飼い主様を対象とした調査では、SARDSの犬の寿命が、比較対象となった犬より短いという結果は認められませんでした。
ただし、この結果だけで、すべての犬で寿命への影響がないと断定できるわけではありません。
ただし、SARDSの犬では、
・水を飲む量が増える
・おしっこの量が増える
・食欲が強くなる
・体重が増える
など、目以外の変化を伴うことがあります。
そのため、必要に応じて血液検査、尿検査、血圧測定、内分泌検査などを行い、目だけではなく全身を見ることも大切です。
「見えなくなった」で終わらせず、その子のこれからを考えます
SARDSと診断された直後は、
「もう何もしてあげられない」
と感じてしまうかもしれません。
でも、できることはたくさんあります。
・家の中を安全にする。
・声をかける。
・一緒に散歩する。
・においや音を楽しませる。
・そして、新しい生活に少しずつ慣れていけるよう見守る。
見えなくなっても、大好きなご家族の声やにおいは分かります。
そして、もう一つ大切なのは、
・「本当にSARDSなのか」
・「治療できる別の病気ではないのか」
をきちんと確認することです。
東京ウエスト動物病院では、神経学的眼科検査、総合眼科学的検査、眼圧検査、眼底検査、眼科超音波検査、ERG、瞳孔反応検査などを症状に応じて組み合わせ、
「どこが原因で見えなくなっているのか」
を一つずつ確認していきます。
✔「SARDSと言われたけれど、これからどうすればよいのか分からない」
✔「最近、愛犬が見えにくそうで心配」
✔「本当にSARDSなのか確認したい」
という段階でもご相談ください。
▶ 関連記事:「目を診る。涙を診る。そして『見える』を診る┃東京ウエスト動物病院の『アイチェック外来』」
大切なのは病名だけを見ることではなく、その子がこれからも安心して暮らしていく方法を、ご家族と一緒に考えることだと私たちは考えています。
見えなくなっても、これからの暮らしを大切に。
SARDSと視覚障害のご相談は、東京ウエスト動物病院へ。
参考文献
・Washington DR, Li Z, Fox LC, Mowat FM. Canine sudden acquired retinal degeneration syndrome: Owner perceptions on the time to vision loss, treatment outcomes, and prognosis for life. Vet Ophthalmol. 2021;24:156–168. doi:10.1111/vop.12855
・Stuckey JA, et al. Long-term outcome of sudden acquired retinal degeneration syndrome in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2013;243:1425–1431. doi:10.2460/javma.243.10.1426
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