ペットの膵臓の病気1 – 消化器に強い東京ウエスト動物病院|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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ペットの膵臓の病気1 – 消化器に強い東京ウエスト動物病院

今回は、膵外分泌不全(すいがいぶんぴつふぜん)という病気についての紹介です。

1.こんな症状ありませんか?

お腹の異常

お腹の異常

当院での事例
ウンチが漏れる、柔らかい、セメント色、形はあったりなかったり、固まってくる時もあるけど、またタラタラとなってしまう、お腹がグルグル鳴る、トイレに何回も行く、時には、食欲にムラや嘔気・嘔吐などを伴うこともある。痩せてくる(体重減少)。このような時は、明らかに内臓の異常が疑われます。

① 便の色
便の色は様々です。脂肪便になると色が薄くなります(図の左側の色味)。
出血があると赤さが混じります(図の右側の色味)。

2.膵外分泌不全とは
膵臓には、次の2つの役割があります。
食べた物を消化・分解する消化酵素を出す外分泌機能
血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを出す内分泌機能

そのうちの外分泌の働きが90%以上失われて消化不良の症状が出た状態を膵外分泌不全と言います。この病気になると食べた物をうまく消化吸収できないため、ウンチの色が変わったり、慢性的な軟便・下痢様になったり、食べているのに痩せてくるなどの症状が出てきます。
一般に猫よりも犬で多く見られます。

3.膵外分泌不全の原因
特発性:膵臓の腺房細胞が萎縮することで起こるといわれていて、すべての犬種に発生する可能性はあります。若いペットでは特発性(体質、遺伝性など)や自己免疫性が、シニアでは膵炎、胆嚢疾患、十二指腸疾患、腫瘍などの影響は考えられています。

高齢の子で、胆嚢切除の手術を受けた後に発症することもあります。肝臓、胆嚢、膵臓、十二指腸、胃などは非常に近いエリアにあり、炎症などの影響を受け膵腺房細胞の破壊を受けることは考えられます。 

遺伝性としてジャーマンシェパードでの報告が知られています。

4.膵外分泌不全の症状
食欲はある、急な体重減少、白っぽい便(脂肪便)、食糞や食べ物でないものを食べる、お腹をすかせているように見えるなどの症状が見られます。若い子(1~5歳)に多いとされていますが、シニアの子にも見られます。
消化不良ではあるが、食欲そのものは増していて異食や食糞をしたり、被毛もバサバサと粗くなったりします。また、白黄色で酸性臭の脂肪便によりお尻が汚れていることもあります。小腸内の細菌の過剰増殖や、コバラミン(ビタミンB12類)欠乏症を起こすこともあります。

5.膵外分泌不全Exocrine Pancreatic Insufficiency (EPI)の診断
トリプシン様免疫活性物質(TLI:Trypsin-Like Immunoreactivity)の測定:
最も有効な検査方法です。膵臓から分泌されるトリプシノーゲンを評価するもので、正常値以下では膵外分泌が充分に行われていないことを示す検査です。

一般血液検査、レントゲン検査、超音波エコー検査、便検査:
膵外分泌不全以外の基礎疾患がないか検査します。膵外分泌不全では肝障害、胆嚢疾患、脂質異常(低コレステロールなど)が観察されることがあります。また膵臓の障害が強い場合には糖尿病を併発することもあるとされています。本症に特異的な検査ではありませんが、周りを埋める大事な検査です。

6.膵外分泌不全の治療
膵酵素の補充や低脂肪食での食餌管理が中心になります。
これらの治療に反応がある場合は、この治療を継続することで本来の元気な生活を取り戻せると言われています。

膵酵素剤の投与:不足している消化酵素を補い消化を助けます。一生涯の投与が必要になる場合もあります。

抗菌剤の投与:膵外分泌不全の子には腸内細菌が乱れてしまう小腸内細菌過剰増殖症(SIBO)という病気を併発する場合があります。その場合は消化酵素だけでは下痢がコントロールできないことが多いので抗菌剤の投与を行います。

ビタミン剤の投与:腸内細菌バランスの乱れや膵外分泌の異常でビタミン不足(特にビタミンB12)になることがありますので必要に応じて補います。

7.膵外分泌不全との向き合い方
下痢が治らない、便の色が薄い、痩せてきた、元気はある、食欲はあるなどの時は本症を疑う必要があります。最初に、検便は行う方がいいでしょう。
また、急性膵炎、慢性膵炎、胆嚢疾患、十二指腸疾患、腫瘍などの関連がないか精査も必要です。
膵疾患系の下痢は小腸性の下痢なので、糞便量・糞便回数が増加し、軟便や水様性便になることが特徴です。そのため、頻回な下痢に悩まされるご家族様も多いと思います。
オムツの利用、お尻周りの毛刈りなどのケアもお勧めです。

頭を低く下げて、前肢の肘を床につけて体を弓なりにしてお尻を高くあげる「お祈りポーズ」、お腹が張っている、お腹周辺を触ると嫌がるなどの異変サインがある場合は膵臓、胆嚢、十二指腸などの疾患が疑われます。早めのご相談をお願い致します。

治療という意味では入院が一番良いですが、環境が変わると食べない、ソワソワと不安定になる、吠え立てるなどの場合は通院治療、半日入院で夜は帰宅という方法もあります。その子の状態や性格に合わせた治療を相談していきましょう。

治療の一環や再発予防という点で、低脂肪食は必要です。でも、1歳未満の成長期の子や、妊娠・授乳中のエネルギー要求量が高い時期では長期給与は推奨されていません。注意が必要です。いずれにしても、自己判断で与えずに当院までご相談頂ければと思います。


Web問診はこちら – 東京ウエスト動物病院 TEL:042-349-7661  FAX: 042-349-7662
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