トーキョーウエストブログ
TOKYO-WEST-BLOG
トーキョーウエストブログ
TOKYO-WEST-BLOG
1.はじめに
病気の治療中に「食べられない」状態が続くことは、大きな問題です。体力や免疫力が低下し、治療の効果が十分に発揮されなくなり、回復の遅れや悪化につながることもあります。
特に、猫は絶食に弱い動物です。数日食べないだけでも、肝リピドーシス(脂肪肝)のリスクが高まります。肥満猫は3~5日食べないと危険ゾーンに入ると言われています。
まだ少し食べているから大丈夫だろう、もう少し様子を見ようなどとする判断はペットの回復を遅らせてしまうリスクがあります。
2.経鼻カテーテルとは
鼻の穴から細いチューブを入れ、食道まで通して栄養や水分、薬を投与する方法です。

カテーテル設置のイラスト:細い管が鼻先から入り、先端は食道内にあります
✔ 手術は不要
✔ 身体への負担が少ない
✔ 鎮静なしで設置できることが多い
✔ 設置後すぐに栄養補給が可能
✔ 不要になればすぐ抜去できる
見た目に驚かれることはありますが、呼吸への影響はほとんどなく、痛みもわずかです。
多くの子は設置後しばらくすると落ち着き、普段に近い生活を送ることができます。
経鼻カテーテルを設置することで、自宅での給餌も楽になり、飼い主様の精神的な負担を減らすことにもつながります。
3.どんなときに必要?
「回復の見込みはあるが、今は自力で食べられない」そんな時に有効です。
例えば:
・口内炎や歯科疾患
・口腔内腫瘍
・顎の外傷
・神経疾患による嚥下障害
・腎不全・肝疾患・膵炎などで食欲がない
・手術後
・重度感染症や体調不良
導入を検討する目安:
・2〜3日ほとんど食べていない
・体重減少が進んでいる
・猫で拒食が続いている
・誤嚥のリスクがある
・口からの強制給餌に強いストレスがある
使用を慎重にするケース:
・重度の鼻疾患
・止まらない激しい嘔吐
・消化管が機能していない場合
・意識レベルの低下
状態に応じて慎重に判断します。
4.栄養管理の考え方
投与量は、体重から算出する安静時必要エネルギー量(RER)を基準に考えます。最初は少量から始め、数日かけて目標量へ調整します。急がず、身体に負担をかけないことが大切です。
5.無理に口から食べさせるリスク
シリンジで口に流し込む方法は、
・誤嚥性肺炎
・強いストレス
・食事への恐怖心
につながることがあります。
経鼻カテーテルは、安全・確実・低ストレスで栄養を届けられる方法です。
6.チューブ設置の流れ
①表面麻酔薬の噴霧剤を鼻に入れます。


②経鼻チューブを挿入します。気管に入らないように嚥下に合わせてチューブを飲み込ませるようにソフトに押し進めます。
③先端部を遠位食道部まで進めます。
短時間で終わる処置で、鎮静剤を使用しないで設置することも可能です。設置後はレントゲンで位置を確認したり、注射器で吸引して空気が入って来ないことを確認します。空気が入ってくる場合は気管に入っていることになりますのでやり直します。最後に、頬、頭、頚などに固定し簡単に外れないようにします。下に実例の写真を示します。

7.給餌の基本
・フードは体温程度に温める
・ゆっくり時間をかけて投与する
・投与前後はぬるま湯でチューブ内をフラッシュ(洗浄)する
・1日量を複数回に分ける
使用する食事は、なめらかで詰まりにくいものにします。
必要に応じて kcal、水分量の調整を行います。
動画で栄養液を与えているところをご紹介致します(1分25秒)。
8.使用する流動食
経鼻チューブは細いため、なめらかで詰まりにくいフードを使用することが大切です。
代表的なフード:
下の写真に示したような製品があり、各社から販売されています。

※これらのフードを使用する場合でもチューブの中で詰まらないように水分調節する必要があります。避けて頂きたい物は、粒が残る、繊維が多いものです。チューブ閉塞の原因になります。
9.自宅管理のポイント
チューブが入っていても、多くの子は普段通りに生活できます。ただし安全のため次の点が大切です。
・エリザベスカラーの装着(できれば24時間)
・固定部位の皮膚チェック(赤み、腫れ、ただれがないか)
・給餌前後、投薬後のぬるま湯での洗浄(フラッシュ)
・固定部位の皮膚チェック(赤み、腫れ、ただれ、痛みなど)
・半分以上抜けたら押し戻さない(気管に入ってしまう危険性があるため)
10.すぐに受診が必要なサイン
・咳や呼吸異常
・繰り返す嘔吐
・チューブが抜けた
・鼻から多量の出血
・急な元気消失
これらが見られた場合はすぐにご連絡ください。
11.まとめ
経鼻カテーテルは、「状態が悪いから仕方なく行う処置」ではありません。見た目に不安を感じるかもしれませんが、《かわいそう》ではなく、命を守るための前向きな治療です。
食べられない状態を放置することの方が、犬や猫にとっては大きなリスクになります。経鼻カテーテルは体への負担は軽く、治療を成功に導くための大切な土台となる処置です。ペットの食欲がなくて困っている方、食べさせることが大きな負担になっている方、管理に不安がある方は、遠慮なく当院へご相談ください。

やさしく、あたたかい、確かなペット医療を!!
Web問診はこちら – 東京ウエスト動物病院 TEL:042-349-7661 FAX: 042-349-7662
経鼻カテーテルによる栄養管理 に強い東京ウエスト動物病院