愛犬・愛猫の消化管内視鏡検査と異物摘出について|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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愛犬・愛猫の消化管内視鏡検査と異物摘出について

小平市、東大和市、東村山市、東久留米市、西東京市、小金井市、国分寺市、立川市の皆さま こんにちは。

東京都小平市で専門的な眼科診療を始め、ALL CARESの
視点から幅広い診療科を有し、日常の診療に携わっております、東京ウエスト動物病院、副院長の佐藤隆です。

昨年2024年11月5日の記事、
犬の誤飲・誤食事例 – 内視鏡による摘出処置のご紹介
に続いて、今回は犬・猫の内視鏡の診療事例(犬2例、猫1例)についてわかりやすく簡単にご紹介させていただきます。
以下の流れに沿って進めてまいります。

1.内視鏡検査・処置について
異物の確認・摘出

異物摘出の流れ
当院での事例紹介1

2.消化管疾患における生検(組織採取)について
生検が必要なケース

生検の流れ
当院での事例紹介2

3.大腸内視鏡検査について
検査が必要なケース

検査の流れ
当院での事例紹介3

4.さいごに

1.内視鏡検査・処置について
消化管内視鏡検査・処置は、細いカメラ(内視鏡)を口や肛門から挿入し、食道・胃・腸の内部を観察、採取などを行うものです。

その目的は以下の通りです。
✅ 異物の確認・摘出
✅ 消化管疾患の発見(炎症、潰瘍、腫瘍など)
✅ 組織の生検((組織採取と病理検査)

異物の確認・摘出
犬や猫は好奇心旺盛で、思わぬものを飲み込んでしまうことがあります。特に多い誤飲例は以下のようです。
■ 犬: ボール、植物の種(桃、梅、プラムなど)、靴下、骨、プラスチック製品、イヤリングなど
■ 猫: おもちゃ、ひもや糸、リボン、輪ゴム、ビニール、飼主様が身に付けている物など

何か異物を誤飲した場合、嘔吐、食欲不振、腹痛などの症状が現れる場合があります。誤飲して30分以内や胃内に留まっている場合は薬物(目薬や注射薬)の投与によって吐かせることもできる場合はあります。
内視鏡で胃の中に異物を見つけることができれば、内視鏡で取り出せる可能性があり、うまく取り出せた場合は、その日のうちあるいは翌日には退院可能となります(これは大きなメリットです)。
時間が経ち、腸閉塞を起こした場合は、開腹手術が必要となります。この場合は体が回復するまでに8~10日前後の長い日にちを要します。
内視鏡で必ず採取、確保できるということではありません。

異物摘出の流れ
異物が見つかった場合、内視鏡で取り出す手順は以下の通りです。
① 麻酔の実施
内視鏡検査・処置は全身麻酔下で行います。
事前に血液検査など、必要な検査を行い、麻酔の安全性を確認します。

② 内視鏡による観察と摘出
内視鏡を挿入して異物の位置や状態を確認し、特殊な鉗子(かんし)で掴み取り出します。

③ 摘出困難な場合は手術
異物が腸(十二指腸、小腸)まで進んでいる場合や摘出できないサイズなどの場合は、ただちに開腹手術に移行します。

当院での事例紹介1
5261 トイプー 14歳 オス去勢 3.15Kg
下の写真は、洋服のボタンを誤飲してしまった犬での内視鏡検査で、胃の中に1個のボタンが確認できました(緑丸)。

胃内に銀色に光るボタンを確認

下の写真は、バスケット鉗子を用いてボタンを確保したところです。

バスケット鉗子が写りこんでいます

無事、摘出することができました。

2.消化管疾患における生検(組織採取)について
消化管疾患の生検では、内視鏡を使って消化管の一部を採取し、病理検査にまわします。

生検が必要なケースは以下の通りです。
🟡 慢性的な消化器症状(嘔吐、吐血、下痢、下血、細いウンチ、体重減少など)
🟡 炎症性腸疾患 [IBD(Inflammatory Bowel Disease)]の疑い
🟡 消化管の腫瘍・ポリープの診断

生検の流れ
1.全身麻酔後に内視鏡を挿入します。
2.疑わしい部分の粘膜を生検用の鉗子を用いて採取します。
3.病理組織検査で細胞レベルの確定診断へつなぎます。
なお、この検査は悪性腫瘍の早期発見にもつながります。

当院での事例紹介2
9149 ミックス猫 2歳 オス去勢 5.95Kg
下の画像は、慢性的な嘔吐が続いていた猫の事例です。嘔吐の原因を探るために内視鏡検査を行ったところ、十二指腸の粘膜が炎症で赤く荒れていることが確認できました。

赤く見える所がひどい炎症を起こして
いるエリアで
広範囲に見られています

そこで、生検鉗子で組織を採取して病理検査を行ったところ、リンパ球・形質細胞性腸炎と確定診断することができました。その後、ステロイド剤を中心とした治療プログラムを組み、嘔吐の症状は改善、消失し、治癒に持ち込むことができました。

3.大腸内視鏡検査について
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して、大腸(結腸、直腸)の状態を観察します。
この検査が必要なケースは以下の通りです。
🔵 細いウンチ、血便、下痢などが続く場合
🔵 大腸ポリープや腫瘍の疑い
🔵 慢性の便秘や腸閉塞の疑い

検査の流れ
1.前処置: 下剤を投与し、腸内をきれいにします。
2.全身麻酔後に内視鏡を挿入します。
3.全身麻酔下において、内視鏡を挿入し大腸(結腸、直腸)を観察します。
4.異常があれば組織を採取して病理検査に回します。

当院での事例紹介3
9240 MD 14歳 ♀避妊無し 3.7Kg
下の2枚の画像は、血便がずっと続いているとのことで内視鏡検査を行ったものです。

たくさんのポリープ(赤矢印)
が見られています。

生検鉗子で組織を採取し、病理検査を行ったところ、直腸ポリープと診断されました。

後日、プルスルーの術式にて当該の結腸、直腸を摘出しています。病理検査では、多発性炎症性ポリープ、慢性直腸炎という評価でした。現在、術後経過を観察中です。細いウンチ、下血、下痢などの症状は改善されてきています。

さいごに
動物の場合は麻酔をかけないと検査、処置ができないという難点はありますが、この内視鏡検査・処置は腹腔内臓器へのアプローチのための皮膚切開がないため、体への負荷はとても小さくなります。画像を通してではありますが、肉眼的に消化管内を観察できるというメリットもあります。事例を選別していく必要はありますが、条件がマッチした子にはとても良い選択法と思われます。

うちのペットが慢性的な嘔吐や下痢で悩んでいる、誤食をしてしまい困っている、そのような際に何とかしたい、してあげたいとお考えの場合には是非当院へご相談ください。

やさしく、あたたかい、確かなペット医療を!!

東京ウエスト動物病院 TEL:042-349-7661 FAX: 042-349-7662
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