犬や猫のリンパ腫(分類、症状、診断、治療、予後)|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

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犬や猫のリンパ腫(分類、症状、診断、治療、予後)

リンパ腫とは
血液のがんの一種で、リンパ組織内のリンパ球がガン化する病気です。体中のどのリンパ組織にも発生する可能性があります。悪性度が高く、転移しやすいため犬や猫では完治することはほとんどない病気とされています。

分類
リンパ腫はガン化しているリンパ球の種類によりB細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、nonTnonB細胞リンパ腫に分類されます。
さらに、ガン化したリンパ球の形態により低分化型(悪性度は高い)と高分化型(悪性度は低い)に分類されます。基本的に低分化型ほど厄介です。
下の画像は、低分化型(悪性度は高い)リンパ腫と診断された事例です。犬の腫れたリンパ節からFNA(針生検)で採材されたもので、たくさんのリンパ系細胞で占められています。ほとんどが明瞭な核小体を持つリンパ芽球です。このように詳細な検査を進めることで、分類していくことができます。例えば、ネーミングとしては、B細胞性低分化型リンパ腫、あるいは T細胞性高分化型リンパ腫などという言い方をします。

症状
下写真のように下顎、膝下などのリンパ節の腫れを示す場合のほか、

 

腋下、鼠径部のリンパ節が腫れる場合もあります。
全身的には発熱、食欲不振、元気消失、嘔吐、下痢、体重低下、皮膚の発疹や皮下の腫瘤の出現(下の写真参照)など様々な症状が見られます。

多数の皮下腫瘤が見られたリンパ腫の事例

また、発生した場所によっては、眼内出血(下の写真参照)胸水や腹水の貯留、鳴き声の変化(声がかすれる、出なくなる)、顔が腫れるなどの症状が見られることもあります。

犬のリンパ腫で眼内の前房出血が見られた事例

当院では、目が赤いということで来院される中に、下の写真のように リンパ性白血病が見つかることもしばしばです。この子はリンパ腫に伴い眼内出血を起こした事例ですが、目の病気ではないかということで来院されたものでした。検査の結果、リンパ性白血病であることがわかり、全身の腫瘍性疾患であることが判明したものです。治療としては、抗がん剤療法という流れになりました。

抗がん剤治療後の目の所見は以下のようです。目の中の出血や虹彩の腫脹はなくなり、良い経過をとっています。

診断
腫脹しているリンパ節やリンパ組織が確認される場合は、同部の穿刺吸引生検や、胸水・腹水で得られた検体の細胞診、切除生検や針生検などで採取した組織片の病理組織検査で形態学的に診断を行います。
典型的な形態を有するリンパ腫の場合は細胞診で確定診断できますが、細胞診での診断が困難な場合は病理組織検査を行う必要があります。
さらに、腫瘍細胞の遺伝子検査を行うことにより、どの細胞由来のリンパ腫(B細胞由来、T細胞由来、nonTnonB細胞由来)なのかを特定することも出来ます。治療を進めるに当たり、これは極めて有用な方法です。

上の写真は、B細胞性低分化型リンパ腫の症例です。多数のリンパ芽球が採取されています。このように特徴的な細胞が採取されていた場合には細胞診だけでもリンパ腫と確定診断することが出来ます。

その他には、血液検査、画像診断(レントゲン検査、超音波エコー検査、CT検査、MRI検査など)があります。必要な場合は骨髄検査を駆使することもあります。これらの結果から、リンパ腫の分類、ステージ、予後の予測へとつなぎ、治療方法を選択する段階へと進みます。          

治療
リンパ腫は悪性腫瘍の中では唯一といって良いほど抗がん剤の効果が期待できる腫瘍です。そのため、抗がん剤による化学療法が第一選択の治療となります。
リンパ腫は単剤で治療していると腫瘍細胞が抗がん剤に耐性を持ちやすくなってしまうため、複数の抗がん剤を順番に使用して治療を行う多剤併用療法が一般的です。
例えば、CHOP療法では、サイクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンという抗がん剤とステロイド(プレドニゾロン)を併用した治療となります。
ただし、猫の消化器系の高分化型リンパ腫などでは単体の抗がん剤でも長く効果が期待できるケースがあり、正確な診断を得ることは治療を進める上でとても大切な事柄です。

その他の治療として、放射線治療や外科的治療を行うケースもあります。あくまでも限定的な対処となります。腫瘍が発生した場所(鼻腔内など)や形態によりこのような治療法が併用選択されることがあります。

予後
犬や猫では完治することはほとんど難しいとされている病気です。生存期間は、年齢、悪性度、転移の有無、併発症の有無などにより左右されます。治療しな
い場合は、約3ヵ月前後の生存期間とされています。治療を行うことで生存期間の延長とQOLの向上は望めます。
リンパ腫は進行が早く、完治が難しい腫瘍ですが、早期に適切な治療をしてあげることにより病気の苦しみを軽減させてあげたり、余命を長くしてあげられる可能性はあります。
もしも、リンパ腫かもと思われる症状が見られたり、あるいは、リンパ腫と診断されて悩まれているようなことがございましたら当院へご相談ください。S

当院では  腫瘍アドバイス を実施しています。診察、治療をご希望の方は連絡を入れて下さい。
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