院長のアクティビティー(著書と活動状況)
ACTIVITY
院長のアクティビティー(著書と活動状況)
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Ophthalmology
著者の豊富な臨床経験の中からセレクトされた犬、猫の眼の病気について、原因、症状、治療、予防の点からカラー写真を織り込みながらわかりやすく解説されています。
病気を写真で紹介するだけでなく、治療や予後、予防にまで触れていることで、極めて実践的な内容となっています。
主に獣医師を対象としていますが、動物看護師(VT、AHT)や学生のほか、目に興味のある一般の飼い主の方にも理解しやすいようにわかりやすく解説されています。
江島 博康 著(発行 インターズー)
定価10,080円(税込み)
Saunders Manual of Small Animal Practice 3rd edition』と題されたこの本は、世界標準とも言えるその道の専門書で、執筆者は147名からなっています。我が国では、文永堂出版の元、73名の訳者が担当し、2年前から翻訳作業を始め、2009(平成21)年4月25日に第一刷発行となりました。2巻に分かれていて、Vol1では、症例の管理、感染症、血液病学/腫瘍学、内分泌および代謝性疾患、皮膚と耳の疾患、消化器の疾患、泌尿生殖器系疾患、Vol2では、骨格系、神経系、眼科学、心肺系、鳥類とエキゾチックペットの疾患となっています。
猫の角膜分離症8例について、極めて初期の状態のものから重篤な状態に至ったものまでの臨床像、病理組織学的所見について解析を試みたものです。極めて初期における角膜表層(上皮下)の薄い黄色の着色は、その時点では輪部からの新生血管が見られないことから血管(血液)由来ではないこと、着色の本態には色素沈着の関与があること、角膜病変の進行は角膜深部ではなく、角膜表層であることがわかりました。発症メカニズムには角膜内での代謝異常は考えられました。
「Tono-pen 2」を用いて、日本の犬と猫の正常眼の眼圧について調査したものです。
正常眼圧は、犬:17.1±3.5mmHg、猫:17.5±3.5mmHg でした。
犬の眼圧は加齢とともに低下する傾向を示し、1日の中では、犬は午後でやや高い傾向が、猫は午前でやや高い傾向が伺えました。
ペルシャ、ヒマラヤン、日本猫に多い『角膜分離症』の角膜黒色病変部から多糖体や鉄を検出し、本症の成り立ちに鉄の関与が大きいことを示した世界最初の論文です。発症の極めて初期の段階では、角膜に新生血管はみられず、角膜の病変部は極めて薄い黄色の着色から始まります。従って、鉄は角膜の新生血管(血液)由来ではなく、角膜での代謝由来と考えることができます。この病気『角膜分離症』が特発性疾患であることを示唆したものとなりました。
このすばらしい本はアメリカで1981年に初版が、そして1990年に第2版が出され、大好評につき現在も改訂されずに各大学や動物病院で定評のあるテキストとして利用されている本です。
Blood type
私が一番最初に書いた原著論文です。なぜか、チンパンジーの血液型に関するものになりました。
ブロメリン法という方法を使うと自然抗体が活性化され、凝集反応を可視化させることができることに成功したものです。ちなみに、チンパンジーの血液は入手困難で、ある共同研究のお陰で入手できたものです。
日本の犬、各品種でのDEA1を始め、各血液型の出現頻度と遺伝子頻度を求めた論文です。
D式血液型では、秋田犬ではD1の頻度は優位に高いことを示しました。また、柴、アフガンハウンドでもD1は高い傾向を示しました。日本の品種ではD1遺伝子の頻度が、西洋の品種ではD2遺伝子の頻度が高く、洋の東西ではっきりと分かれる所見を示していました。
日本の猫たちの血液の中に自然抗体である抗-Ca抗体、抗-Cb抗体を認め、それらを用いてCa型、Cb型、CaCb型の3種類に分類したものです。抗-Ca抗体はCb型の猫の6割に、抗-Cb抗体はCa型の猫の3割に見られ、全ての猫が相補性を示す抗体を持つわけではありませんでした。日本では、圧倒的にCa型の猫が多く(89%)、続いてCaCb型(10%)、Cb型(1%)の順になりました。今回の血液型は、国際的に命名されているAB式血液型に当てはめると、Ca型=A型、Cb型=B型、CaCb型=AB型と考えられます。
犬の同期複妊娠(この論文では、違う父親の子を妊娠・出産する)で、親子のD式血液型を鑑定し、子供がどちらの親の子かを科学的に証明する手段として血液型鑑定を取り入れた世界最初のとてもユニークな論文です。
母親はD2型です。父にはD1型とD2型がいます。生まれた子供がD2型かD1D2型かで、どちらの父親かを100%確実に識別できます。
犬のD式血液型(D1型、D2型、D1D2型)について、3191例、30品種についてその頻度を求めたものです。
D1遺伝子の頻度は、四国犬、秋田犬ではずば抜けて高く(0.750以上)、次いで、柴犬、アフガンハウンド、紀州犬、雑種犬などでは少し下がって0.224~0.333の範囲、ドーベルマン、ウエストハイランドホワイトテリアなどでは0.167~0.178、マルチーズ、土佐犬、プードル、コリー、英セッター、ラブラドールレトリバー、トイプードル、ビーグル、英ポインター、ジャーマンシェパード、シェットランドシープドッグなどでは0.009~0.097、チワワ、ダックスフント、ゴールデンレトリバー、ポメラニアン、パグ、セントバーナード、シーズー、シベリアンハスキー、ヨーキーなどではD1遺伝子は見られませんでした。
洋の東西や品種によって大きく異なっていることがわかりました。
Transfusion
埼玉県獣医師の先生方で作る臨床研究会『のぶしグループ』で所有の供血犬28頭について、ご協力をいただき、血液型を調査しました。DEA1(-)型[DEA1・1(-)型とDEA1・2(-)型]は、7頭(25%)に見られ、供血犬としてベスト3の犬を選択することができました。他の21頭では、DEA1・1(+)型は13頭、DEA1・2(+)型は8頭でした。このような血液型を元に計画的な繁殖を行い、理想的な供血犬を生産、供給することも夢ではないと思われました。
猫の赤血球型、犬の赤血球型、交叉適合試験、供血動物の選択、輸血方法について現状を紹介しています。
輸血の適応と効果、輸血の副作用、保存血、異種間輸血、輸血と免疫学的寛容、血液型の応用について現状を紹介しています。
患犬は8ヶ月齢、雄のラブラドールレトリバー、体重24kg、歩行を嫌うことと食欲の減退を主訴に来院。
対症療法を行うも、来院8日目にPCV値は20%から14%へ低下したため輸血を実施。
血液検査でバベシアギブソニーが検出されバベシア症と診断、ジミナゼン・ジアセチュレート(ガナゼック)を主体とする治療と輸血を実施。輸血は5例の供血犬から計13回行ったが、そのうちの1例からの再輸血時(8~10回目)に呼吸促迫、流涎、嘔吐、沈うつ、血色素尿症などの輸血副作用が観察されました。
これは検査の結果、DEA1・1型の不適合で、患犬血清中に産生された抗DEA-1・1,2抗体によることが判明しました。その後の輸血については、赤血球型検査と交叉適合試験を行い、これらのテストをクリアした適合血のみに切り換えて輸血を継続しました。その結果、副作用もなく、良効な輸血効果が得られました。
輸血療法では少なくともDEA1システムの型適合性試験や交差適合性試験の実施は極めて重要であることが再認識されました。
造血ホルモン製剤であるヒトリコンビナントエリスロポエチンの投与が抗がん剤であるサイクロフォスファマイドによる貧血に対して有効であることを示した論文です。
具体的には、抗癌剤-サイクロフォスファマイド30mg/kgの経口投与による骨髄抑制性の一過性の貧血に対して、ヒトリコンビナントエリスロポエチンの貧血防止効果の有無をイヌを用いて検討したもので、その貧血防止効果のあることが示されました。また、抗ヒトリコンビナントエリスロポエチン抗体の産生は投与を受けた4例中3例(75%)において、4.5~260ng/mlの範囲で認められ、ヒトリコンビナントエリスロポエチンの異種動物(犬)に対する抗原性が示唆され、なお、その抗体活性は投与1ヶ月後には消失していました。
ヒトリコンビナントエリスロポエチンは犬にも有効ではあるものの複数回投与する内に免疫抗体が作られ、その効果が出なくなることが考えられ、その場合は投与は中止することになります。
Others
その他、以下のような幅広い獣医学系の専門共著書が数多くあります。
教員としての14年間に、学生の教育をはじめ、数多くの研究発表の経験があります。
付属のメディカルセンターで眼科や外科の診療を担当、長年にわたる臨床経験があります。特に、眼科は、大学付属病院での初代担当としてその基礎作りに尽力しました。
1994(平成6)年 小動物臨床獣医学会 東京地区
「APTT値の延長を示した犬の肝細胞癌における新鮮血漿輸血下の一手術例」
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