緑内障とは
ヒトの右目
イヌの右目
緑内障(りょくないしょう、あおそこひ; glaucoma グラウコーマ)は、目の病気の一種です。
緑内障は、視神経や網膜の神経が死んで、徐々に視野が欠けていく病気で、人を始め、ペット(犬、猫、兎など)にもみられる、とても飼い主さん泣かせの病です。
緑内障には、眼球内の圧力が高くなる(眼球が硬くなる)高眼圧緑内障と、人で最近注目されている眼球内の圧力が正常でも発症する『正常眼圧緑内障』があり ます。後者は自覚しないうちに発症する嫌な病気で、日本人では最多の失明原因です。このタイプは、眼球が硬くなる高眼圧緑内障に比べ、治療法の開発が遅れています。
『正常眼圧緑内障』の発症には視覚に重要な役割を持つグルタミン酸が関与していますが、細胞内外でのグルタミン酸の濃度をコントロールする蛋白質に異常が あると、グルタミン酸が細胞外で増え、その結果、神経細胞を死なせてしまうことがわかっています。そこで、グルタミン酸を細胞内に回収し、細胞外の濃度を 制御してやれば、治療につながるのではと期待されています。
『正常眼圧緑内障』と同じタイプの視覚障害がある世界初のマウスも生まれて、今以上によい治療法が期待できるのではないでしょうか・・・。
急性緑内障
緑内障はひどい痛みを伴なって、視力低下をおこします。
3日以内に眼圧を下げられれば、視力は回復できるとされています。
内科的治療や外科的治療を組み合わせて行います。
良くなったら治療が止められるというものではなく、良い状態を維持することが治療の目標になります。
予防処置も大切です。
犬急性緑内障・治療前
瞳孔は大きく(散瞳)、白目の赤さ(血管拡張)と目の表面(角膜)の淡い白濁が見られます。眼圧上昇(目が硬くなる)と目の中の痛みが強いです。
視力はかなり低下しているか失明しています。緊急処置が必要です。
犬急性緑内障・治療後
眼圧は元に下がり、瞳孔は小さく(縮瞳)なり、目の表面(角膜)の白濁はとれてクリアになっています。痛みはとれて楽になりますが、なお、目薬や飲み薬などが必要です。発症からできるだけ早く(3日以内)、このような状態にもどすことが大切です。

目の3大兆候(痛み、失明、目の表情が悪くなる)が全て見られます。
急性緑内障は目の内側から外側に強い圧力がかかり、発症と同時に失明と激しい眼痛が出る病気で、近年、特に柴犬には多いとされています。
視力を回復できる可能性が高い時には積極的な緊急治療(点滴、注射、点眼、エリザベスカラー)が必要です。
目では、目の白濁(角膜の浮腫)、黒目の広がり(散瞳)、白目の部分が真っ赤になる(結膜血管の怒張)、眼圧の上昇(目が硬くなる)、目をつぶる(痛みのため)など、全身では、縮こまって震える(目の激痛のため)、食欲が落ちる、立ちすくむ、ぶつかる(失明のため)などです。
他の品種では、ビーグル、シーズー、マルチーズなどに多く見られます。
写真の柴の子は、4歳、メス、11.88kg の子です。
ある時突然に右目から発症。2ヶ月後には左目にも発症。いずれの場合も救急療法を実施して眼圧をコントロールする治療を行ったが、最終的にはうまくいかず失明。
手術には大きく3種類ありますが、飼主様はシリコンボールによる義眼挿入術を選択されました。