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ビジュアル眼科|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

目の病気をビジュアルに理解していただくためのコーナー

当院の眼科診療は院長の14年間にわたる(現)日本獣医生命科学大学での教育・研究、執筆、国内外での講演、および同大病院(現 動物医療センター)での診療担当(眼科、外科、内科など)、(特に、眼科は附属病院での初代担当として診療体制を作る)がベースにあり、それに開院22年余の眼科診療、執筆、国際学会への参加の実経験を積み重ねながら(計36年間)、当たっているものです。

ここでは、治療前後の所見を、ビジュアルに示し、このように治っていくという理解を深めていただけるように紹介しています。

眼科ケア誌に紹介してきたエッセイ27編を『院長の眼科ケアなエッセイ、この2年と3ヶ月』 と題してまとめています。

2007(平成19)年の1月号から、眼科ケア誌〔人医療における眼科看護ケア情報誌(株式会社メディカ出版、大阪府吹田市)〕にエッセイを書き始めて2年と3ヶ月間の27編をビジュアルにまとめました。

白内障

Cataract

白内障手術

白内障は手術で光を取り戻せます。
犬、猫、うさぎが対象で、視力回復を目的とした白内障顕微鏡手術が可能です。
白内障は、その程度や症状、年齢、糖尿病の有無などによって皆違います。
また、手術には適期がありますので、ご希望の方は一度詳しい診察を受けて下さい。
入院は3~4日から1週間ほど必要です。

犬白内障手術前

犬白内障手術前

犬白内障手術後

犬白内障手術後

手術後は、眼底の視神経や網膜が見えます。

猫の白内障

猫の白内障は、犬に比べると診る機会は少ないです。当院での猫の白内障手術は生後数ケ月齢の子猫から1~2歳の若い猫たちで行うことが多く、時折、老年性の白内障もみられます。
写真の子は、年齢5歳のアダルトの猫です。 右目は『初発』(ステージ1)、左は『未熟』(ステージ2)の段階で、ステージ2の方がより進んだ状況で、光り方も左目の方が少し弱いです。
両目とも先々進行してしまうようであれば、白内障手術となるかもしれません。

光る目:この子の左目に線状の混濁として見えるのが白内障です。光り方も左目の方が少し弱いです。

猫の白内障

白内障は光を遮り、視力は低下します。
右目は『初発』(ステージ1)の段階のため、この写真でははっきりしません。
(5243FUKMR*COO)

猫の白内障

この写真は、同じ左目をスリット光で拡大観察したものです。
線状の混濁として見えるのが白内障です。
(5243FUKMR*COO)

猫の場合、白内障に対する点眼療法はとても効果的で、白内障の進行を十分に抑えてくれる好印象を持っています。 視力障害が出るようになってしまったら、白内障手術がお奨めです。手術に当たっては専門の経験ある動物病院で先ず診てもらうことがとても大切です。

当院での経験では、猫の白内障手術は犬よりも実施しやすいという印象を持っています。術中・術後のトラブルのリスクも犬に比べてずっと低いように感じています。 なお、術後の点眼療法を中心とした再発予防処置はいろいろな観点からとても大切なものです。

ウサギ(ラビット)の白内障

ウサギ(ラビット)の白内障
写真1

ウサギ(ラビット)にも白内障があることはご存じでしょうか。
写真1は、ウサギの初発白内障のケースです。

ウサギ(ラビット)の白内障
写真2

写真2は、同じ目を縦長の光(スリットランプ)で観察した様子です。矢印で示した白いエリアが白内障で、全水晶体の中でも一部分だけが白くなっています。このようなステージのものを初発白内障といいます。

今後、未熟(みじゅく)白内障、成熟(せいじゅく)白内障、過熟(かじゅく)白内障へと進むと思われます。

当院では、都内のラビットクリニックを始め他の動物病院などからも目の病気のことではご紹介をいただいています。

白内障や緑内障、角膜疾患などの眼科系の病気のほか、目が出てきて変?などなど、総合的なご相談もよく依頼を受けています。

ウサギでも白内障が進行し、視力を回復させようとなると犬や猫の場合と同じように白内障手術が必要です。
当院では、ウサギの白内障の治療、予防、また、手術も日常的に行っています。
ブログ記事 『ウサギ(ラビット)にも白内障はありますよ。』もご参照下さい。

なお、ウサギにおいても白内障では、併発症として、結膜炎とよく混同される緑内障や強烈なブドウ膜炎などがみられることもあります。
手術を予定する場合には精査して慎重に進める必要があります。

白内障の手術を希望される方は増えています

眼の中を診察中

最近、白内障の手術療法を希望される飼主の方が多いので、当院での白内障やその手術について解説致しました。
白内障は老いたペットだけではなく、若い子でもみられます。そんな時、飼い主様はその子のこれからのことを考えて手術を希望されることが多いようです。

犬では1~2歳くらい、中には1歳未満の子にもみられ、猫の場合は若い子(数ヶ月齢~)に割と多くみられます。
ウサギも大体同じ傾向にあります。

この手術は、見えるようになることを目的としていますので、見える可能性がない、あるいは極めてその可能性が低い場合は手術をあきらめていただくよう話をします。
手術をすれば見えるようになるか否かを精査し、そこで可能性があると判断した場合にのみ手術を実施します。
従って、手術の成功率も95%以上と高くなります。

また、手術には実施できる時期というものがあります。
早すぎてもその必要性はありませんし、遅すぎたら手術のリスクが高くなり、視力の回復という本来の目的を達し得ない場合もあります。
ですから、白内障の進行具合や手術の時期、適否を把握する、ということはとても大切なことです。

当院では、いぬ、ねこ、うさぎを対象としています。

術後見えるようになると、

  • アイコンタクトがとれたり、
  • 散歩中、いやなものをよけたり、
  • 明るくなったり、
  • 活発になったり、
  • 若くみえるようになったり、

その効果はとても大きなものがあります。

どんなことでもそうですが、100%うまくいくという保証はありません、この手術でもそうです。
しかし、術前検査でかなり絞り込みますので、うまくいく確率はかなり高いものになります。
術後は定期的な検査と治療が必要です。

白内障体感レンズ

白内障体感レンズ
白内障体感レンズ

飼主の方に、写真のようにレンズを持っていただき、白内障を体感してもらいます。

  • 愛するペットがどのように見えているのか
  • どの程度 Low Vision になっているのか
  • どのように見えづらくなっているのか
  • どのように不便さを感じているのか

などを体感していただき、少しでもペットの状況を理解していただくためのツールです。

白内障体験レンズには、白内障の程度が弱いものから強いものまでさまざまなタイプがあります。

正常な見え方

正常な見え方

白内障が少し進んだ見え方

白内障が
少し進んだ見え方

白内障が中等度に進んだ見え方

白内障が
中等度に進んだ見え方

白内障がかなり進行した見え方

白内障が
かなり進行した見え方

緑内障

Glaucoma

緑内障とは

ヒトの右目

ヒトの右目

イヌの右目

イヌの右目

緑内障(りょくないしょう、あおそこひ; glaucoma グラウコーマ)は、目の病気の一種です。

緑内障は、視神経や網膜の神経が死んで、徐々に視野が欠けていく病気で、人を始め、ペット(犬、猫、兎など)にもみられる、とても飼い主さん泣かせの病です。

緑内障には、眼球内の圧力が高くなる(眼球が硬くなる)高眼圧緑内障と、人で最近注目されている眼球内の圧力が正常でも発症する『正常眼圧緑内障』があり ます。後者は自覚しないうちに発症する嫌な病気で、日本人では最多の失明原因です。このタイプは、眼球が硬くなる高眼圧緑内障に比べ、治療法の開発が遅れています。

『正常眼圧緑内障』の発症には視覚に重要な役割を持つグルタミン酸が関与していますが、細胞内外でのグルタミン酸の濃度をコントロールする蛋白質に異常が あると、グルタミン酸が細胞外で増え、その結果、神経細胞を死なせてしまうことがわかっています。そこで、グルタミン酸を細胞内に回収し、細胞外の濃度を 制御してやれば、治療につながるのではと期待されています。

『正常眼圧緑内障』と同じタイプの視覚障害がある世界初のマウスも生まれて、今以上によい治療法が期待できるのではないでしょうか・・・。

急性緑内障

緑内障はひどい痛みを伴なって、視力低下をおこします。
3日以内に眼圧を下げられれば、視力は回復できるとされています。
内科的治療や外科的治療を組み合わせて行います。
良くなったら治療が止められるというものではなく、良い状態を維持することが治療の目標になります。
予防処置も大切です。

犬急性緑内障・治療前

犬急性緑内障・治療前

瞳孔は大きく(散瞳)、白目の赤さ(血管拡張)と目の表面(角膜)の淡い白濁が見られます。眼圧上昇(目が硬くなる)と目の中の痛みが強いです。
視力はかなり低下しているか失明しています。緊急処置が必要です。

犬急性緑内障・治療後

犬急性緑内障・治療後

眼圧は元に下がり、瞳孔は小さく(縮瞳)なり、目の表面(角膜)の白濁はとれてクリアになっています。痛みはとれて楽になりますが、なお、目薬や飲み薬などが必要です。発症からできるだけ早く(3日以内)、このような状態にもどすことが大切です。

柴犬の急性緑内障

柴犬の急性緑内障

目の3大兆候(痛み、失明、目の表情が悪くなる)が全て見られます。
急性緑内障は目の内側から外側に強い圧力がかかり、発症と同時に失明と激しい眼痛が出る病気で、近年、特に柴犬には多いとされています。

視力を回復できる可能性が高い時には積極的な緊急治療(点滴、注射、点眼、エリザベスカラー)が必要です。
目では、目の白濁(角膜の浮腫)、黒目の広がり(散瞳)、白目の部分が真っ赤になる(結膜血管の怒張)、眼圧の上昇(目が硬くなる)、目をつぶる(痛みのため)など、全身では、縮こまって震える(目の激痛のため)、食欲が落ちる、立ちすくむ、ぶつかる(失明のため)などです。
他の品種では、ビーグル、シーズー、マルチーズなどに多く見られます。

写真の柴の子は、4歳、メス、11.88kg の子です。
ある時突然に右目から発症。2ヶ月後には左目にも発症。いずれの場合も救急療法を実施して眼圧をコントロールする治療を行ったが、最終的にはうまくいかず失明。
手術には大きく3種類ありますが、飼主様はシリコンボールによる義眼挿入術を選択されました。

網膜剥離

Retinal detachment

網膜剥離のイメージ図
網膜剥離のイメージ図

網膜剥離(もうまくはくり)とは、その名の通り網膜が剥がれることです。
そのイメージを、目のモデルを使ってビジュアルに示したのがこの図です。剥がれている様がよくイメージできると思います。

本来は張り付いている網膜の一部(赤点ライン)が左の写真のように剥がれて浮き上がると網膜剥離(もうまくはくり)となります。 剥離の時に、出血を伴うことも多いようです。

視力は、低下(Low Vision)するか、失明(Vision Loss)状態となります。
網膜は何層もの神経細胞層から構成されていますが、犬で通常最も多くみられる『滲出型(漿液がたまるタイプ)の網膜剥離』では剥がれる部分の網膜層は決まっています。

多くの場合は部分剥離ですが、かなりひどい状態であっても治療によって改善の可能性は大きいと思います。
ただ、再発することが多いので、継続的な眼科での診療は欠かせません。

網膜剥離のないイメージ図
網膜剥離のないイメージ図

参考までに、剥離(はくり)のない、あるいは治った網膜のビジュアルイメージはこの図です。
上の網膜剥離(もうまくはくり)の図と見比べて下さい。

角膜潰瘍

Corneal ulcer

角膜潰瘍(かくまくかいよう)は、角膜の深いキズのことです。

角膜潰瘍は角膜の深いキズのことで、強い痛みと視力障害が出ます。
見た目も悪くなり、メヤニやなみだで汚い目になります。
痛みのために目をつぶります。
前足でこすったり、物に目をこすりつける動作が見られることもあります。
ひどくなると角膜が破けてしまう危険性もあるので、破けないように適切に治療する必要があります。
もし、破けた場合は手術になります。

今回は、内科療法で治ったケースと手術を併用して治ったケースを紹介します。

内科療法(点眼、経口薬、注射薬)で治癒したケース
(シーズー、4歳、♂、8.2Kg)

初診

緊急入院時

初診時の所見です。
痛そうに左目を閉じ気味になっています。
飼主様の言葉では、3日前から痛みが激しく目を閉じていたとのことでした。

緊急入院時

左目は典型的な角膜潰瘍で、青く濁り、中央部がクレーターのようにへこんでいます。
充血、角膜への血管侵入、角膜の混濁などが見られます。

緊急入院時

緊急入院時

緊急入院時の所見です。
角膜が破けてしまう危険性があったことはお伝えしていたのですが、やはり、翌日に破けてしまい、出血があったということで、緊急入院になりました。
潰瘍部は大きくなり、中に乳白色のものが見られます(この状態をデスメ瘤といいます)。

初診(治療開始)から6週間目

初診(治療開始)から6週間目

初診(治療開始)から6週間目の所見です。
最初に比べると白っぽい濁りや細い血管はまだありますが、デコボコ状態だった潰瘍部はかなり平らな状態になっています。

術後

術後

痛そうな感じはなく、目はよく見開いています。
今後も目の濁りを軽減するための点眼療法や涙の量を維持する治療は続けていくことになります。
かなり良くなったからといって、点眼療法などを止めてしまうと角膜潰瘍が再発することが多いので、継続的な治療を指導していきます。

手術療法を併用したケース
(シーズー、9歳、♂、4.65Kg)

初診

初診
初診

初診時の所見です。
右目のまぶたは腫れて痛みもひどく、目を開けることができません。
メヤニで汚れて、表情も暗く、つらそうです。眼面(ガンツラ)が悪い状況です。

初診

目をきれいに拭いて所見を確かめたところです。
目の中央部はへこみ、潰瘍になっています。
痛みがとても強い状態です。
角膜は白く濁り、血管が増えて透明感が失われています。
視力はほとんどない状態です。

術後

術後

傷を負った角膜を手術でカバーしたところです。
カバーして保護することで傷の治りをサポートしてやります。

術後14日目

術後14日目
術後14日目

手術後14日目の所見です。
カバーしていたものを取り、潰瘍部はほぼ治っています。
痛みもなく、目を開けることができています。
まだ濁りが残っていますが、これは今後の点眼療法で治療していくことになります。

チェリーアイ

Nictitating membrane

チェリーアイは取らずに、元の位置にもどす矯正手術を行います。
取るとドライアイになる危険性が高くなります。

猫チェリーアイ矯正手術前

猫チェリーアイ矯正手術前

猫チェリーアイ矯正手術後

猫チェリーアイ矯正手術後

犬チェリーアイ矯正手術前

犬チェリーアイ矯正手術前

犬チェリーアイ矯正手術後

犬チェリーアイ矯正手術後

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