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麻酔管理|東京ウエスト動物病院|東京都小平市学園東町の動物病院

麻酔管理

ANESTHESIA MGMT

手術では、麻酔を心配される方は多いですね

ふだんの診療の中で手術となった時に、麻酔が心配、全身麻酔下での手術で何か問題が起こらないかと話をされる方は多いです。 やはり、そうですよね、麻酔は心配ですね。不安はつきものです。『知り合いのペットが麻酔事故で亡くなった。』、『この年齢で麻酔は大丈夫?』といった話をされる方もいらっしゃいます。 そのような時は・・・、

麻酔の内容やなぜ手術が必要なのかを説明致します。

予定する麻酔の内容(例えば、全身麻酔で麻酔濃度を調節可能な吸入麻酔を用いますなど)、手術の必要性(手術でなければ改善を見込めないなど)、前もって必ず実施する検査としての前検査についても説明をしていきます。
これらを通してその子の病状について把握、理解していただき、前対策を講じることもできるようになる旨お伝えしていきます。

麻酔の方法

当院では、バランス麻酔という考え方を取り入れています。

  • 意識がない(静脈麻酔導入剤、吸入麻酔剤)、
  • 痛みがない(麻薬性鎮痛剤など)、
  • 体動がない(麻酔深度の調節、筋弛緩剤など)

の3つのバランスを取っていきます。
また、麻酔の方法には手術中の麻酔濃度の調節が可能という点で安全とされる吸入麻酔法が使われることが最も多いです。前処置薬や吸入麻酔剤の改良・改善により、高齢や臓器障害といったリスクがあってもトライしやすい環境になってきております。

前検査

吸入麻酔装置(正面)と人工呼吸装置(右上)
本器は、麻酔濃度の調節が可能で安全な麻酔の維持に貢献します。
呼吸が止まった際は、人工呼吸装置を起動し呼吸をアシスト(補助)することができます。

他の麻酔法としては、注射麻酔(全身麻酔)がありますが、近年ではほとんど使われることはありません。一旦、静脈から入った注射麻酔薬は主に肝臓で代謝され、尿として出されるまで、その濃度を調節することはできません。そのため今ではほとんど使われることはありません。微量持続点滴法は麻酔濃度の調節がある程度可能という点で使われることはあります。局所麻酔を注射するという方法もありますが、ペットの場合、保定のため押さえ込まれてしまうストレスの方が大きく、あまり実用的ではありません。

高齢であっても、麻酔・手術が必要と思われる時はご提案致します。

よく耳にする言葉として『高齢なので麻酔は無理!』といったことがあります。でも、それは本当でしょうか。その子の体調面をしっかりと調べて(前検査)、判断することは大事なことです。体調面の確認、把握は、健康診断としても有用で、無駄になることはありません。

検査の結果を踏まえて、『高齢でも安全を確保していけば手術はできる』と前向きにお知らせしていきたいと思っています。手術を避けた方がいい場合は、その旨すみやかにお伝え致します。

麻酔薬の投与量を少なくしています。

麻酔の安全性を保つため、できるだけ『麻酔薬の投与量を少なくする』をモットーに麻酔薬のほか各種鎮痛薬や局所麻酔薬を組み合わせて、総麻酔量を少なくするよう努めています。

前処置薬・鎮痛薬の処置

前処置や鎮痛の処置は、とても大切な事柄で使用する各薬剤の投与量を減らし、麻酔や手術における安全性、成功率を高める上で極めて大切なものです(バランス麻酔)。
痛みをコントロールするためにフェンタニルやモルヒネ、局所麻酔薬などを必要に応じて使用していきます。基本的には、術前から使用し、術中、術後も使用していきます。

麻酔の管理

麻酔カルテの記録、術中のモニター(血圧、全身の循環、四肢の保温、心電図、触知圧、聴診、CRT、尿量など)を管理しています。また、循環を保つために点滴を行っています。

麻酔に使用する器材類は、消毒、滅菌したものを使用しています。
術中、術後の痛み軽減を計る目的で、術部への局所と全身にも鎮痛処置を施します。

術後は、必ず酸素ルーム下で1~2時間安静にし、覚醒を促すと同時に呼吸や体調の管理に努めています。

全身麻酔

全身麻酔をすることで、意識をなくし、痛みや反射を防いで、手術を安定して進めていくことができます。
手術中、安全に手術が進むように、獣医師、看護師は麻酔の深さ、血圧、体温、脈拍、呼吸、尿量などを管理しています。
全身麻酔には、安全性の高い麻酔薬が使われていますし、手術中の体の状態を把握する医療機器も進歩しています。麻酔が原因で、重大な合併症や後遺症が起こることは稀なことになっていて、非常に安全になってきていると言えます。

麻酔・手術には必ず潜在的なリスクを伴います -
飼主様に是非、理解しておいていただきたいことがあります。

麻酔や手術も進歩し安全にはなってきていますが、一方で、リスクはあります

『麻酔は大丈夫でしょうか?』、『その手術は難しいですか?』と聞かれることがあります。当院からは『麻酔や手術について100%保証することはできませんが、できるだけそこに近づけるよう対処を考えて参ります』とお伝えしています。

何か予期せぬことが起きる可能性はいつもあります。油断しないようにしなければなりません。特に、健康体に対して行う麻酔、手術は無事にお返しして当たり前の状況ですので、より慎重になります。

麻酔処置後にペットに変調が起こり、徐脈、低血圧、呼吸抑制、呼吸困難、呼吸停止、心停止などが見られるかもしれないことは常に念頭にあります。『100%大丈夫、絶対に問題は起こりません!』とお伝えしたいところですが、そこまでは言えませんし、かえって無責任な対応となってしまいます。

飼主様にも理解と了解をいただかないと先に進めることはできません。
ペットの状況によって対応は毎回違うものであり、その意味でも難しいところはあります。

麻酔については、上記にお示ししたような内容について細やかにお伝えし理解していただけるよう努めております。

なお、麻酔・手術に当たっての前検査はよほどの緊急時を除いては必須の要件です。
その詳細は次の項で紹介致します。

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